赤の福袋

□起きるまで
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んん・・・もう朝かな・・・

でも眠いからもーちょい寝よ・・・


「・・・ユフィ」


あ・・・ヴィンセント起きたんだ・・・

むー、なでなでされるともっと眠くなる・・・

ヴィンセントのなでなでさいこーだからなー・・・

・・・・・・エヘッ、おでこにキスされちった


Prrrrrrrrr


うるさいなー・・・アタシのかな?

・・・・・・あ、ヴィンセントのだったみたい

・・・ヴィンセント、溜息吐いた

おっちゃんからかな?

・・・あー、ヴィンセント、ベッドから出ちゃった

おっちゃんに呼び出されたんだろーなー・・・zzz・・・







石鹸の・・・香り・・・ヴィンセント、風呂から出たのかな・・・

あーなでなでだめー

もっとねむく・・・な・・・る・・・





「行ってくる」

「ふぁっ・・・」

行ってしまうヴィンセントの声で目が覚める。
「ゔぃんせんと・・・」と呟いて手を伸ばせばヴィンセントは驚いたような表情を浮かべると少し笑って手を握り返してくれた。

「起こしたか?」
「ううん・・・どっかいくの?」
「任務でリーブに呼び出された」
「そっかぁ・・・あさごはん、つくるよ・・・」
「いや、いい。お前はもう少し寝ていろ。打ち合わせで店に入るからその時に一緒に食べてくる」
「そーお?じゃぁ・・・」

眠い目を擦ってなんとかしてユフィは起き上がる。
その時にパサリと被っていた毛布がずり落ちて一糸纏わぬ体が曝け出される。
突然の不意打ちにヴィンセントは一瞬固まり、けれどすぐに動き出すと慌てて毛布をユフィの体に巻き付けた。
朝からとんだ爆弾を投下してくれる。
これにとどまらず「あーごめん」と舌足らずでふわふわとした眠気に溢れた言葉でふにゃりと笑いながら言うものだから尚更心臓に悪い。

「いくまえのじゅーでーん」

両手を大きく広げてユフィが抱きついて来る。
心地の良い温かさと柔らかさを伴って胸の中に飛び込んで来たそれをヴィンセントは受け止めて快く迎え入れた。
抱き心地の良いそれは抱きしめているだけで心が和らぎ、癒やされていくのが分かる。
ついでに疲れも取れているような気分になる。

(ユフィセラピー・・・)

ふと、そんな言葉が思いついて小さく笑う。
きっとこのセラピーはあらゆる疲れを癒やし、心を解きほぐしてくれるだろう。
もっとも自分専用のセラピーだが。
報酬はマテリアと可愛がってやる辺りになるだろう。
そんなのはお安い御用だ。

「すー・・・すー・・・」

元々夢見心地だったユフィは瞬く間に眠りについてしまい、穏やかな寝息を立てている。
本当ならばもう少しだけ抱きしめていたいのだが、いかんせん時間がそれを許してはくれない。
名残惜しく思いながらもヴィンセントはそっとユフィをベッドの上に横たわらせると柔らかい頬に静かに口付けを落とした。

「行ってくる」

小さく頭を撫でてやり、そっとベッドを離れて部屋を出て行った。





ヴィンセント・・・いっちゃった・・・

さみしーけど・・・ねむい・・・

ヴィンセントのにおい・・・まだあるから・・・ねむ・・・

はやくかえってこないかにゃ・・・


「ゔぃんせんとぉ・・・」


ヴィンセントと抱きしめ合う夢を見ながらユフィは眠りに落ちて行くのであった。











END
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