短編集 -3-dimensional-
□Joyeux anniversaire
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「私、18歳になった」
「おめでとう」
「なんで、誕生日に言ってくれないの?」
「誕生日は皆に祝ってもらえるだろう」
「忘れてたくせに。ホント、言い訳ばっか…水飲んだら帰る」
名の返答に満足せず、友梨奈は立ち上がって冷蔵庫を開ける。
「あ」
冷蔵庫の中には手作りのホールケーキ。
真ん中に乗っているチョコレートには【友梨奈、誕生日おめでとう】と書かれていた。
「………これ…」
「…生ゴミの日に間に合わなくてな。捨てておく」
ケーキを両手で慎重に持ち、名の前まで運ぶ。
「私が…来なかったから?」
「別に連絡や約束をしてたわけじゃない。自己満足で勝手に作っただけだ」
「…また…体調崩したの知ってた…から?」
友梨奈の質問が止まらなくなってきたので、名は立ち上がってゴミ袋を持ってくる。