欅の宿り木
□欅の宿り木 8話
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「腕の具合は?」
「もう、完璧。右手使えるとね、ご飯が美味しく感じる」
「だろうなぁ…まぁ、無事に治って良かったな」
名の安堵したような表情が、本気で心配してくれていた事を物語っており友梨奈の胸は暖かいもので満たされる。
「名に願掛けしてもらったからね」
「やめろっ、その話をぶり返すんじゃない!」
「うそうそ、リハビリも手伝ってもらったし感謝してるよ」
「痛みが出ないとはいえ、しばらくは無理しないようにな」
「うん、あのさ…リハビリしてるときに怪我が治った時の事を考えると良いって言ってくれてた話、覚えてる?」
「あぁ、水族館行くって話か?」
「うん、今度仕事で行くんだけどさ…その前に名と行きたくて」
会話の中で自然な流れで提案できたと、友梨奈は心の中で自画自賛する。
「ん?下見か?別に良いぞ」
「あ…いや…うん、下見…」
だが、手強い幼馴染は素のトーンで返してくるので少し肩を落とす。
「また、連絡するな」
「うん、またね」
友梨奈の後ろにスタッフのような人影が見えたので、名は会話を打ち切って通信を終わらせた。
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