欅の宿り木

□欅の宿り木 7話
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「無視か〜?無視だなぁ?ぷんぷんっ」



「テンション高けぇ…」



「ねぇ〜ねぇ〜」



頬を膨らませながら首に片腕を回して抱きついてくる友梨奈に、名は小型犬にじゃれつかれているような気分になって手を止める。



「分かった、分かったから!くすぐったい!」



肩の上で顔を動かす友梨奈に、名は無表情では居られなくなって振り返ると右腕を三角巾で吊った姿が目に入った。



「ったく…急にどうした?」



「べっつに〜」



ちょっと拗ねたままの友梨奈は名の膝を正面から跨いで座り、そのまま抱きついてから友梨奈は黙り込む。



「……怪我、痛むか?」



「うん、少しだけ」



「そっか…」



「…全治まで…1ヶ月は掛かるって……武道館のライブ…中止だって…」



友梨奈が落ちないように抱き締めて背中を優しく撫でていると、急に会いにきた理由がポツリと溢れた。



「……悔しいな…辛かったな…」



「…っ……」



責任の重さを全てを受け入れて、それでも弱い姿を見せずに立ち続ける事がどれほど過酷なものかを分かっている名は弱々しく震える体を撫で続けた。





「……ありがと……もう…充分…泣いた………初詣いこ」




「は?」




小一時間ほどで泣き止んだ友梨奈は名から離れると、ハンカチで涙を拭き取って、次のプログラムに移りますと言わんばかりにドアの外を指差す。




「だって、初詣行ってないから」




「へいへい、お姫様の言う通りに」




友梨奈の気分が晴れるなら何でも良いと考えた名は友梨奈のプランに付き合うことを決めた。




〜・〜
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