欅の宿り木

□欅の宿り木 6話
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「すいません、ちょっとこの子、頭が…あれで…」



一瞬だけ、鬼の様な表情が見えたが名が振り返ると綺麗なアイドルスマイルへと戻って謝罪する。



「ちょっ!それは酷い!勉強なら私の方が」



「あん?」



「すいません…」



「いえ、大丈夫っす!アイドルって綺麗な人が多いんだなって驚いただけなんで!」



2人の関係性の中で行われるやり取りであって実際に喧嘩しているわけではないと感じた名は荷物を置いて出て行こうとする。



「ほらー!分かる人には分かるんだよー!」



「いやいやいや!絶対、違うから!」



「なに入り口で騒いでんの〜?邪魔でーす!」



2人が言い合っている内に出てしまおうと考えていると、背中を押されて再び部屋へと押し込まれる。



「え?あっごめんなさい、スタッフさんだった……ん?…ん〜?…あれ!?…………名字 名?」



少し小柄な女性は名を見て首を傾げ、深く被っているキャップを下から覗き込んだ後に名の顔写真付きの証明書を見る。




「あ!あ!あ!あ!あーー!握手!握手してください!」



小柄な女性は急にテンションが上がって衣装で掌を拭いてから名の前に手を差し出すので、言い合いをしていた2人も視線が向く。
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