欅の宿り木
□欅の宿り木 2話
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「えーっと?どこから入るんだコレ?」
住所通りの場所にバイクで来たのは良いが、中型バイクを置けるような場所もなく近くのスーパーに置いてスタジオのような建物の周りを歩き続ける。
「あいつ…」
メールの返信もなく、電話を掛けると電源が入ってないか電波の届かない所にいるとの電子アナウンスだけが戻ってくる。
「正直に言ってもなぁ…」
正面入り口の守衛にアイドルの知り合いだと一般人が言って入れる訳もないと思い裏口っぽい所に移動した矢先に女性と肩がぶつかる。
「っ…すいません」
「いえ、こちらこそ」
「「あ…」」
女性はサングラスとマスク、帽子というスタイルだったが2人は電話で話した事があったので声で気づいた。
「アイツの知り合い…良かったぁ…」
「うん、どうかしましたか?」
「これをアイツに持って来いって言われて」
髪留めを渡し、手短に概要を話すと名は彼女の立ち場を考慮して足早に立ち去ろうとする。
「ちょっと、待ってください」
「はい?」
「顔色悪すぎですよ?大丈夫ですか?」
冷たくなっている彼女の手が額に当てられて気持ち良さを感じると驚いた表情になる。