↑欅の宿り木 Chapitre final↓
□欅の宿り木 最終章 4
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「なるほど」
事態を把握した名前は係の生徒と対応を交代し女児の前で膝をつく。
「よっ、俺のこと知ってる?」
「あ…あぁ…そう…だい…」
名前を見て怯えた様子になり、スカートを両手で握りしめる。
「あのお姉さん、困ってる人を見つけるの上手いんだよねぇ」
「…」
菅井の方を一瞬向いて話を始める名前に菅井は柔らかい笑顔を見せながら首を横に振る。
「俺も迷子になってた所を見つけてもらったんだ」
「総代が?…迷子に?」
「うん、なった。びっくりするよな?」
ようやく顔を上げた女児に名前は何度も頷きながら会話を続けると、徐々に表情が和らいでいく。
「お母さんに嫌われる……だから…言わないで欲しい」
「そっか、だから黙ってたのか」
名前が色々な方法を考え始めた瞬間にタイミング悪く、母親らしき人物が現れて女児に一直線に向かってくる。