↑欅の宿り木 Chapitre final↓
□欅の宿り木 最終章 3
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「あれ?生駒さんと母さんも知り合い?」
時が止まったような空気だったが、名前が笑みを浮かべながら割って入ってくるので里奈達は目を見開いて顔を見合わせる。
「母さん?苗字君のお母さん!?」
「あら、名前も知り合い?」
「一応、お姉さん達として良くしてもらってる」
「へぇ…お姉さん達ね?」
驚いている里奈達を横目に名前と会話した母は徐々に目付きが鋭くなって、最後は里奈達に視線を突き刺した。
「あ…の…」
「婚約者の次は息子まで?トップアイドルって貪欲ですねぇ。あぁ…新キャプテンになって、あの人を捨てる気だから新しいものを欲しくなったんですか?」
「っ!?」
ピリピリとした圧を出している母は言い淀む里奈を見た後に真夏に視線を向けて感情のこもっていない笑みを浮かべる。
「婚約者?」
「いや、こっちの話。じゃあ、またあとでね」
息苦しい空気に名前が質問するが、母は軽く息を吐いて感情を整えると、いつもの笑みに戻って名前の肩を叩いて立ち去った。