短編集 -3-dimensional-
□je suis aimee dix
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「名さん、遅いなぁ」
「忙しい人だからね〜」
「焦らなくたって、名は来るから大丈夫。先に準備しよっか」
「「はーい」」
「あの、みんな…さ…ちょっと良いかな?」
そわそわしている祐希に美月が話しかけ、麻衣が二人の頭を撫でて準備を促すといった楽屋での何気ないやりとりの中で、真夏が小さく手を挙げて皆の注目を集める。
「どうしたの?」
珍しい行動に絵梨花や麻衣も視線を向けて真夏を見る。
「名さんって……そんなに重要かな?」
「は?」
「いや、マネージャーさんなら他にも居るしさ…今はスタイリストさんやマッサージ専門のスタッフさんも居るから…名さんがマネージャーである必要ないかな〜…って…」
「いや、意味分かんないから。どういう事?」
歯切れの悪い言葉に麻衣は真夏の側に詰め寄っていく。
「今後の事を考えるなら…名さんにはマネージャーを辞めてもらった方が…よくない?」
「アンタ…それ、マジで言ってんの?番組向けなら先に言って。番組向けだとしても、そのネタは本気でキレそう」
麻衣と視線を合わせた真夏は結論を伝えてくるので、何の冗談なのかと失笑しながら返す。