短編集 -3-dimensional-
□je suis aimee Quatre
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「名さんの怖い体験を聞かせてください」
「あー、次の企画のヤツ?俺はそんなに怖い体験とかしてないぞ?」
「色んな人から話を聞きたいので」
未央奈が楽屋で怖い話について名に質問してきたので、詳しくはない事を伝えるが未央奈はそれでも良いとの返事だったので椅子に座る。
「ん〜、この前さ友達と山の山頂から日の出を見ようって事でバイクでツーリングに行って来たんだよ」
「そこは、話し始めるんですね」
対面側に座っていた絵梨花は、すぐに対応する名に苦笑いしながら話を聞き始めてしまう。
「深夜の山道を走ってて、トンネルを抜けた時に制服を来た女子高生が歩いてるのが見えたんだ。こんな時間に不思議だなぁとは思ったけど友達も不思議そうに首を傾げて合図してきたから、幽霊とかじゃない感じだった」
「ほっ…」
幽霊ではない怖い話かと絵梨花は安心したように胸を撫でおろす。
「でもさ?幽霊とかじゃないならないで、深夜の山道だぜ?事件とか怖いだろ?だから、一度、バイクを止めて話し合ったんだ」
「なるほど…」
未央奈も集中している様子で名の話に頷きながら聞いている。
「幸い、俺たちのバイクは二人乗り出来るタイプだったから戻ることにしたんだ。で、女子高生を見かけた場所に戻ったらさ…地蔵が立ってた」
「おぉ…?」
話の展開が良くない方向に転ぶので絵梨花は訝しげな表情で体を小さくしながら聴き入る。