短編集 -3-dimensional-
□Joyeux anniversaire
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「ただいま」
一人暮らしの家で夕飯の用意をしていると、友梨奈が玄関の鍵を開けて鞄を適当な場所に置いてソファーに転がる。
「…おかえり」
何かを聞く事もなく、名は友梨奈の分の食事を取り分けてテーブルの上に並べる。
「いらない。食べたくない」
「そか…」
この家に来る時は何があった時だけであり、名は友梨奈の態度に驚く事はなく食事にラップを被せた。
「……追い出しても良いのに」
「……気が済むまで居れば良い」
「…」
自分の食事を摂らず、友梨奈の横に座って静かにしている名に友梨奈が拗ねたような口調で話かけるが即答されて黙り込む。