短編集 -3-dimensional-
□Truth or Doubt
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体調を崩して緊急入院。
抵抗力が弱まった時に血液の中で細菌が増えたらしいが難しい用語を並べられた説明で友梨奈にはよく分からなかった。
今、分かっている事は検温、点滴、味気のない食事が繰り返される酷く退屈な毎日が続くという事だけ。
「平手さん、体調はどうですか?」
「あ、はい…熱も下がったので体の怠さも無くなりました」
「あとは、体の中の細菌が居なくなれば退院できるでしょう」
そんな日々で友梨奈の唯一の楽しみ、担当医の名字 名と話が出来る瞬間。
話と言っても、淡々とした冷たい口調で一方的に報告してくるだけなのだが、友梨奈はこの医者に強く惹かれていた。
「…以上になります。何か質問は?」
「いえ、ありま…」
友梨奈が返答しようとした瞬間に入り口のドアが開くと、小さな女の子が顔を覗かせていた。
「ここは、個室。入らないって教えたはずだが?」
「ご、ごめんなさい……」
「名字先生、良いんです!花ちゃんはお友達なんですよ!」
時折、話し相手になってくれる小児科病棟に入院している花ちゃんは5歳の女の子で友梨奈の事をお友達だと言ってくれている。
今日もお話しをする為に来てくれたのだろうと、友梨奈は関係性の説明をして花ちゃんを招いた。