短編集 -3-dimensional-
□正直な気持ち
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仕事を終えて、スーパーに寄り夕食の材料を買って一人で暮らしている家に帰る。
何気ない日常。
無意識に鞄から自宅の鍵を探すが、違和感があってドアの前で立ち止まる。
一人暮らしの家に明かりが付いている。
消し忘れたかと鍵を差し込むと、引っかかる事なく鍵が回る。
つまり、鍵があいている。
「誰…?」
鍵を渡しているのは家族ぐらいで、珍しいと思いながらドアを開けるとソファに座ってテレビを見ている女性。
ただし、テレビにもソファに座っている彼女が写っている。
「あ、おかえり!」
「七瀬!?…どうした?」
振り向きざまに明るい笑顔を見せられて、名は目が点になる。
「なんもないよ、名に会いたかっただけ」