欅の宿り木

□欅の宿り木 番外7 +
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やっと抜け出せた。




名に連絡しても繋がらないし、どこに泊まるのかも聞いてない。




なんとなく胸騒ぎがして、会場に戻ると名はステージに立ってた。




会場は静寂が支配され薄暗い照明が灯されているステージに名は立って舞台から観客席を見渡す。




名の靴が床に擦れた音が響いて、軽くステップを踏む。




体が自然と動いて緩急のあるダンスから激しくリズムを取り、高速で統一のとれた動きへと変わる。




やっぱり上手いな。




惹きつけられる。




いつか、あんな風になりたいと素直に思う。





「……才能は…引き継がれている」




名が踊り終えた瞬間に拍手しようとすると、別の誰かが拍手をして息を呑んだ。





名は拍手の方向へと目線を向ける。







「…」







名は無表情のまま、観客席で拍手している男の前に立って帽子を脱いで客席にいる誰かと話しだした。
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