欅の宿り木
□欅の宿り木 番外7
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1966年、ビートルズがライブを行ってからはビートルズと同じ場所でライブをしたアーティスト。
そう称される事がステータスとなり、日本中の音楽アーティストの聖地となった場所。
武道館。
そんなステージに立つ事が許されたアイドルグループのセンターである平手友梨奈。
「ここが、武道館……」
感慨深げにステージや観客席を見渡していると、黒色のパンツとシャツを着用し、黒色の帽子を目深に被った男が観客席に座っている。
「あー…もしかしなくても…暇?」
警護として雇われた名は授業の要点をまとめたノートを眺めながら、友梨奈が別の場所に移動するまで待っている様子だったので気を使った友梨奈は名の帽子のつばを少し上げた。
「ん?まぁ…な…」
暇とは言わなかったが、歯切れの悪い名は再び帽子を深く被り直す。
「だよね…ん〜どうしよっかなぁ」
今回は友梨奈や名の意図したものではなく、大きな力によって半強制的に名は召集されていた。
「別に友梨奈が気を使う必要はないだろ?俺もお前の仕事を邪魔する気は無いし」
さらに警備も入り口に居て、基本的に部外者が入る事は不可能という状況から考えても警護としての名の存在は不要。
「でも…」
名をこの場所に連れてくる後付けの理由でしか無い事は明確だが、誰にも詳しい話をされていない。
そんな気持ち悪さを払拭するために、友梨奈は思考を巡らせようとするが立ち上がった名に頭を撫でられる。