欅の宿り木
□欅の宿り木 番外3
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学校帰りに珍しく母親から連絡があり、予定を聞かれたのでテスト前期間は部活もないから家でテスト勉強をする為に直ぐに帰ると返信。
『テスト準備期間中に勉強!?あれは遊ぶためにあるのよ!』と、返信が来た。
「いやいやいや……」
反論が許されないのか、目の前にタクシーが止まって運転手に乗るように促されると立派なビルの前に到着する。
「えっと?」
「名字 名君ね?」
「あ、はい…って!ちょっ」
タクシーは運賃も取らずに発車。名はビルの玄関前に取り残されていると成人女性に腕を引かれてビルに連れ込まれた。
「時間はいくら掛けても良いから、彼女を説得して外に連れ出して…あとは任せるわ」
「はい?」
ビルの一室のドアを開けて押し込まれる。何のドッキリなのかと辺りを見渡す。
目の前には会議室の長テーブルと椅子が並び、壁際にはケータリングと思われる食事やお菓子、飲み物が大量に置かれている。
「実写版、花沢類かよ……」
耳鳴りがするほど静かな部屋の窓枠に片足を伸ばして座り、外を眺めている欅坂46のセンター。
名が入ってきた瞬間だけ目線を向けたが、ため息をついて窓の外を見続けている。
近寄るな、触るな、話し掛けるなという絶対遮断領域が見えるほどに肌に重い空気が突き刺さる。
名も軽口で距離を測るが完全に無視されたので、とりあえずコーヒーを勝手に淹れて教科書を広げた。