欅の宿り木
□欅の宿り木 番外 2
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名の学校の学園祭に友梨奈は潜入中。
各教室で様々な出し物をして活気付いており、人が大勢行き交っている。
そんな廊下を欅坂46のセンター平手友梨奈は堂々と歩く。
だが、すれ違う人は誰も気付かない。
「これ、最っ高」
小さく笑みを浮かべて窓ガラスを見ると名の学園の制服を着ていて、どこにでもいそうな女子高生が映っていた。
名の母親特製の制服と特殊メイクにより、学校の入り口ですら入場券なしでスルーしていた。
「まぁ…6時間は長すぎだけど…」
本気の特殊メイクに掛かる時間は想像以上だったが、それ以上の成果に友梨奈は満足していた。
友梨奈の目的は名の日常を垣間見る事。これなら完璧だと、名を探してキョロキョロとしながら移動を繰り返す。
「あ!てち!!」
不意に自分のあだ名を叫ばれ、油断していた友梨奈は髪の毛が逆立つのを感じて素早く振り返る。
何故ばれたのかと、どうやって切りぬけようかと、名に怒られるという思いがグルグルと巡って思考を掻き乱した。