即席小噺-reloaded-

□陽だまりの様な…
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「ん〜?」


「あの…梨加さん?」



「座って、ほしいな」



仕事終わりに梨加さんに呼び出され、部屋に二人きりになるとソファーの空いている席をぽんぽんと叩かれて促されたので素直に従う。



「よしよし」



「なぜに?」



隣に座った俺の頭を梨加さんは優しくぽんぽんと撫でてくるので、疲れたような姿を見せてしまっていたかと不安になって問い掛ける。



「ん〜…したかったから?」



「そうですか…」



ふるふると首を横に振りながら小さく可憐な花が咲くような笑みを見せる梨加さんに、自分が心配したような気持ちにはさせていないと安堵して息を吐く。



「いつも、ありがと」



「いえ、こちらこそ」



ぽんぽんと撫でられ続け、気持ち良い力加減とテンポに目を閉じる。



「あ…どうぞ」



「どうぞって…胸の上に?頭を?」



眠たいと感じたのか梨加さんは自分の胸元をぽんぽんと優しく叩いてから両手を広げるので、意図を問うとコクンと静かに頷く。



「じゃあ、失礼して…」



男なら遠慮などする必要がどこにあるだろうかと誰に向けているか分からない問答を頭の中で繰り広げながら梨加さんの胸元に頭を預ける。



「ふふっ」



優しく抱き締めながら後ろ髪をぽんぽんと撫でてくれる梨加さんが小さく笑うので目線を上に向ける。



「なにか変ですか?」



美しさとはこの人の為にあるという言葉なのかと思わされる程に整った顔立ちだと感じてしまう時点で俺は梨加さんに陶酔しているのだと実感する。



「ううん。幸せだなって…」



「全部、台詞取らないでくれます?」




その美しい顔立ちが柔らかな笑みを浮かべ、魅力が体から溢れている様子に身体の芯が熱くなっていくのを感じた。



「好き」



「あ、また取った」



追い討ちをかけてくる梨加さんに男としての甲斐性を奪われたと少し拗ねた声を出して距離を取ってみると、それすら見透かした梨加さんは俺の胸に頭を預けて収まる。



「じゃあ…次は…交代。ぽんぽん…して?」




甘えた声を出しながら上目遣いで潤んだ瞳を向けてくる梨加さんに絶対勝てないと思いながら、サラサラとした髪に指を通して抱きしめた。




「やっぱり…好きは…嘘」





「嘘…なんですか?」



気持ち良さそうに目を細めた梨加さんは首をゆっくりと横に振って、細く美しい指先を俺の唇へそっと当てる。



「うん……大好き……だから…ねっ?」




「それ…ずるいです」







経験豊富な大人なら焦らしたりするのだろうか。そんな事が少し脳裏に浮かんだが、迷わず口付けを待つ唇を塞ぐ事を決めた。










fin


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