↑欅の宿り木 Chapitre final↓
□欅の宿り木 特別編〜山下美月の憂鬱〜
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「いや、落ち着くかなと」
「あの、すいませんついでにもう一個良いですか?」
「んー?」
キャップを戻した名前は飛鳥の目を見て何かを伝えようとするので、飛鳥もふざけた表情から少し真剣な表情に戻る。
「えと、齋藤さんって呼んで良いですか?」
「却下」
逆に呼ばされてるの!?と口に出そうな言葉を美月は両手で口を抑えて堪えた。
「…じゃあ…極力、名前を呼ばないように距離取りますね」
「ちょっと待て。よし、飛鳥さんで手を打とうじゃないか」
少し思案した様子の名前に飛鳥は慌てた様子で妥協案を提示する。
「…分かりました。しょうがないですね、それで手を打ってあげましょう」
「すいません、ありがとうございます…って、おーい!!」
いつの間にか立場が逆転している事に気付いた飛鳥はテンション高めに名前の胸を強く殴ってから声を出して笑う。
そんな姿はメンバーの前でも滅多に見せないので美月は目が点になった。
「じゃあ、飛鳥さん、俺行きますね」
「ん、本当に無理しないようにね。アンタはNom(名前)じゃないんだから」
お灸を据えた様子だが、表情からは弟を心配するお姉ちゃんの感情が読み取れるので名前は観察対象として興味深さを増す事になった。
To Be Continued…