↑欅の宿り木 Chapitre final↓

□欅の宿り木 最終章 最終話 -完結-
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「名前!」



「おう、友梨奈。もう行くな」



楽屋を出て舞台袖まで歩いていると友梨奈が名前の背中に抱きついて振り返らせる。




「うん。頑張って…」



「気持ち、貸してくれるか?」



「もちろん。利子をつけて返さないとね。しゃがんで?」



両手を広げた名前だったが、友梨奈はしゃがむように促してくるので言う通りにする。




友梨奈は名前の頬を撫でながらゆっくりと顔を近づけ、唇と唇の隙間は埋まって暖かみを感じる。



「ん?…っ!?」



「ふふっ、なに驚いてんの?」




突然のキスに名前は目を見開くが、友梨奈は面白そうな笑顔を見せて、再び唇を重ねた。



「いや、驚くだろ…きゅっ…」



「んっ…まだ、足りない?」



「いや、充分」



名前が話そうとするたびにキスの雨が降り注ぐので、名前は目を細めながら返す。




「まだって言え」




その答えでは不満だと言いたげに名前の額に自分の額を合わせた友梨奈はクスクスと笑う。



「まだ…」



「我儘だなぁ〜」




言われた通りの言葉を発すると、一番優しく気持ちを重ねて友梨奈は名前を立たせる。



「じゃあ……行ってくるな?」



「うん、行ってらっしゃい!」




友梨奈は名前を抱き締めて気持ちを込め、柔らかい笑みでファンの待つステージへと送り出した。



















-fin-









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