↑欅の宿り木 Chapitre final↓
□欅の宿り木 最終章 6
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「星野さん、それで良いの?ずっとセンターでやれてないよ?高校最後なのに」
「仕方ないよ…私はこういう運命なんだよ。キャプテンが迷惑掛けるわけにはいかないしね」
友梨奈が腕のストレッチをしている横で名前は澪の隣に座って脚を診たあとに視線を合わせると、困ったような笑みで目線を斜めに落とす。
「運命…ね……あの…菅井さん、秋元さん…」
「はいっ」
立ち上がった名前に急に会話を振られた真夏は姿勢を正して、一歩前に出る。
「キャプテンって、我慢だけする人の事を指す言葉でしたっけ?」
「ふふっ、ううん。違うよ」
「うん、絶対違う」
振り返った名前に対して真夏は笑顔で首を横に振り、菅井も真夏の言葉に深く頷いて賛同する。
「だってさ。2人が言うなら間違いない。星野さんはどうしたい?」
「踊り…たい…よ…でも…もうこれしかないの!もうすぐ始まっちゃうし、私の足はダメになってる!どうしようもない!」
希望を聞いても、何も出来ないと澪は涙声で伝えながら友梨奈を見る。
「おい、アリス。部室にあるテーピングと湿布をありったけ持ってきてくれ。それとさロシア製の生理痛の鎮痛剤持ってたな?取りに行ってくれ。5秒で」
「な、なんで私のパパの会社から直接取り寄せて飲んでる薬知ってるです…って5秒!?ドーラより酷い仕打ちです!ハトとお別れする暇すらないです!!」
なにかを説明する前にアリスは文句言いながらも素早く動き出して走っていった。