欅の宿り木
□欅の宿り木 番外 6
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「……」
「Chasing him(彼を追いかけて)」
「what?(え?)」
「He will guide you to the destination(彼が、あなたを学校まで案内してくれるってさ)」
背後でねるの声が聞こえ、小走りの2人の足音が迫ってくるので名は深い溜息をついて歩幅を小さくする。
「あ、ありがと!ありがと…ごじゃる!」
「ふふ、可愛い」
少女は名に拙い日本語で感謝を口にしているので、外堀を埋められたと感じた名は目を細めてねるを見る。
「ねるさん、この界隈に出没しすぎじゃないですか?」
「だって、名くんが家におらんけん仕方なか」
「確信犯ですか…まったく」
時々、英語で少女と会話をしているねるに嫌味を言ってみたが、誤魔化す事なく直球で返ってきたので名は黙って学校まで向かう。