短編集 -3-dimensional-

□Truth or Doubt
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「花ちゃん、医者になるかも知れませんね?」




「なりません」




「えっ?」





「……医者なんてロクな仕事じゃない……それに、あの子はアイドルに憧れている」





「あはは……まぁ…アイドルもロクな仕事じゃないかも…」






自然な流れで世間話が出来るかと思ったが、名は即答で断言して友梨奈は苦笑で返した。





「生きている限り、苦しみは必ずやってきます。苦しみからは逃げても良い、戦っても良い。常に自分にとって何が最善の選択なのかを考えなければなりません」





「はい」





「…しまった…歳を取ると口を開けば説教じみてしまう……貴女は貴女の人生を楽しんで下さい」




友梨奈の身の回りを綺麗に整えると、名は友梨奈を布団の中に入るように促して少し前髪を撫でて小さく笑みを浮かべた。





「っ!」





とても美しく、尊い笑顔に友梨奈は胸が締めつけられたようになり、鼓動が早くなるのを感じて黙り込む。




名が部屋を出て行った瞬間に枕を顔に押し付けながら叫んで気持ちを吐き出した。






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