欅の宿り木
□欅の宿り木 8話
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「もしもーし」
名が初めてのスマートフォンを持ち、操作が分からず悪戦苦闘していると友梨奈から連絡が来る。
「おーい」
「ちょ、なんでTV電話にすんの!?」
「ん?なに?」
「もー……」
よく分かっていない様子の名に、友梨奈は呆れた様な声を出しているが照れた様子で髪を整えながら応じて映り込む。
「おぉっ、友梨奈」
「相変わらず、機械音痴だね〜」
「仕方ないだろ、ボタン無いんだから。ボタンがさ〜」
「スマートフォンなんだから当たり前でしょ!」
自分の姿に驚いている名に友梨奈は小さく吹き出して、名の言い訳を笑いながら制す。
「で、マジ卍って何だ?」
「あー、名にも送っちゃってた?ごめんね?卍の意味を調べたんだけど、特に意味は分かんなかった」
「若者言葉…なのか?」
少し前に来た内容を尋ねるが友梨奈自身もよく分かっていない様子で苦笑していた。
「さぁ……そだ、LINE使いだしたなら、最初の友達登録凄くない?」
「いや、友梨奈以外にしてない」
「え?」
「顔見て話がしたい人間、友梨奈以外に居ないし」
「ふーん…そっか」
ふとした質問の名からの答えに、友梨奈は目線を逸らした後に前髪を何度も目にかかるように撫でていた。