欅の宿り木

□欅の宿り木 7話
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「病院で診てもらった時、完璧な応急処置をされてるって言ってたよ」



「ん、RICE処置は基本だからな」




「さすが、医者の卵だね」




初詣の繁忙期は過ぎており、人が疎らになった神社の石段を二人はマイペースに会話を繋ぎながら登っていく。



「そりゃ、どうも。腕を引っ張られて床に叩きつけられる経験は無駄にならなかったな」



「それ、ゆっかーにも言ったでしょ?あの後、名字君を傷付けてしまったかもって気にしてたよ?」



「あー…言ったな…菅井さんに軽口は慎もう…」




友梨奈の賞賛に、名が軽く返すと目を細めて事情を伝えてくるので名も同じように目を細めて空を見上げた。




「ゆっかー、真面目だから…わっ!!」




「っと…」




小言を続けようとした友梨奈だったが、石段でつまづいて前のめりになるので名が手を伸ばす。
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