欅の宿り木
□欅の宿り木 番外8
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「名!お願い!!」
「嫌だって、言ってるだろ?」
7月も中旬を過ぎ、友梨奈が家に来たかと思うと外出同行の依頼をしてくるが名は内容に難色を示して返す。
「逆にさ、なんで行かないの?ねる、卒業しちゃうんだよ?」
「何からの逆なんだ…」
友梨奈の同行依頼理由はねるが出演しているラジオ番組に花束を持っていきたいので、一緒に行こうというもので名に理論で勝てるわけもなく力尽くの説得が続いていた。
「あ…富士急の時に水掛けたのまだ根に持ってんの!?あれは手が滑ったんだって!」
「笑顔でこっち向いて手が滑るなんてことあるか!先生達もずぶ濡れだったぞ!その後、気を使った先生と2人きりで服を買いに連れ回される気まずさをお前にも味あわせてやりたい!いや、それはそれで根には持ってるけど、ねるさんの所は別に俺が行く必要ないだろ?」
「どんな花束にすれば良いか分からないし」
「いや、だから。俺、花屋じゃないし」
「いーじゃん!いこー!いこー!」
同じ内容がブーメランし続けるのに業を煮やした友梨奈は地団駄を踏み始め、不意をつかれた名は一瞬だけ笑ってしまい溜息をつく。
「急にキャラ変えんな!ったく……付いていくだけだからな」
「よし!うん、わかった!」
名が渋々ながら席を立つと、友梨奈は笑顔で頷いて更衣を促してくるので素早く準備を始めて家を出た。
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