欅の宿り木

□欅の宿り木 番外7
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「ねるさん、マジで怖いです」




「ふふふっ、びっくりしたと?」




名が素早く振り返ると、ねるは作り込んでいた怖い表情から一転して満足そうに笑い名の肩を叩く。




「あかねん、なんの話?」




「あかねん?…あぁ、キャプテンが居なかったら皆が困惑するっていう事を俺から伝えて良いのか迷ってたので来てくれたんだと思います」




「そか、何か怒られてるのかなって」




「理由もなく怒る人じゃないでしょ?」





「さすがに、こういうのは怒られちゃうと思うなぁ…」





事情を説明していると、ねるはゆっくりと名を抱きしめてくるので溜息をつく。




「ねるさん、盗み見はよくないと思いますが?」




「ごめんなさーい」




「絶対、反省してないでしょ」




ニコニコとした表情を崩さず、抱きしめる力を強めるねるに名は離れるように背中を軽く撫でる。




「私にも、ぎゅってして?」




「ねるさん?」




「もう…最後やけん……欅坂の私として…名君に会うの……」




先程の笑顔が弱々しくなり、震える不安げな瞳に名もゆっくり抱き締める。




「欅坂だから、ねるさんは皆に愛されてるわけじゃないですよ?」




「……」




「ちゃんと丁寧に積み上げてきたものは、簡単に壊れません…ライブで確認してきてください」




「ありがと…名くん」




少し強く抱きしめ、後ろ髪を撫でるとねるは優しい笑みに戻って名の胸に顔を埋めた。




「…っ…よし!行ってきます!」




「はい、行ってらっしゃい……ん?」




リハーサルの再開を知らせる声が遠くから聴こえてねるは名から元気よく離れるが顔を見つめたまま止まっている。




「え?行ってらっしゃいの、ちゅーは?」




「しません」




「けち!」




上目遣いのねるに名が即答すると、明るい笑顔で舌を出し、手を振りながら走っていくので名も苦笑しながら手を振り返した。











To be continued……


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