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□番
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最初は「Ωだから何?ジヒョはジヒョだよ!!」って受け入れた振りをしてジヒョを安心させておき、発情期に抑制剤を隠したミサモ。

「あぁっ…もうやだぁ……。」
三人は既に涙と体液でぐちゃぐちゃになっているジヒョを攻め続ける。
「あんたたち何してっ!!」
ナヨンが部屋から聞こえてくる声に気づいた。
ドアを開け目に飛び込んできたのは三人に囲まれ裸で横たわっているジヒョの姿。
「何って虐めてるんだよ?」
「こんなことして許されるわけないでしょ!!」
「オンニ?何言ってるの、Ωってこういう生き物なんだよ。」
「ジヒョの方が良く分かってるみたい。いつもちゃんとピル飲んでるもんね?」
「ジヒョ……。」
思わずジヒョを見ると目を逸らされる。唇は悔しそうに歪められている。私はΩが憎いけど、こんな思いをさせたいわけじゃない。こんなの間違ってる。Ωという種族の現実を突きつけられ動揺するナヨン。

ジヒョは黙ってしまったナヨンを見て失望されたのだと思いこむ。
意志とは関係なく相手を求める身体が、自分がひどく惨めだ。
希望なんて見えないよ。オンニ…。
いつの間にかオンニは部屋からいなくなっていた。三人が飽きて行為をやめるまでジヒョはもう抵抗しなかった。快感に身を委ね頭から片時も離れない大好きな人を忘れてしまおうとした。なのに一人ベッドに取り残され回らない頭に浮かぶのはオンニだけだった。
会いたいよ…。その一心でジヒョはシーツを被ると重い身体を引きずるようにナヨンの部屋に歩いて行った。

喘ぎ身体を痙攣させ感じているジヒョの目は虚ろで何も映してないようだった。いたたまれなくて、その場を逃げ出した。
私たちαがいるからジヒョは苦しんでるの?その綺麗な瞳を汚したのは私なの?自己嫌悪の闇に飲み込まれそうになった私に笑いかけてきたジヒョの笑顔が蘇る
。…諦めちゃだめ。救える方法はただ一つ、ジヒョと番になること。Ωと分かっても変わらない自分の気持ちに気づいた。
急いで廊下に出るとこちらに歩いてくるジヒョの姿が見えた。
「ジヒョ!!」
声をかけると信じられないという顔をして私を見るジヒョ。
走ってジヒョの身体を抱きしめた。
「オンニ…!」
強く抱きしめ返してくれる。
「ねえ、私と番にならない?」
聞いた瞬間ジヒョの目から涙が溢れだした。
「なる!…なりたい!」
「良かった…。」
優しくジヒョの首筋を噛んだ。
ジヒョの身体から力が抜けていく。
「発情が止まった…。」
「成功みたいね。お疲れ様。」
頭を撫でる。
もうこんなものに振り回されなくて済む。いっぱい歌って。いっぱい踊って。…ずっと私が隣にいるから、あんたもずっと私のそばにいなさいよ。


「オンニ、大好き。」
「私も。」


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