R?小説

□透明度の高い視線2
1ページ/1ページ


階段を上るのは玉井詩織
眼鏡の輝きケアに余念が無い
学ランの着方に神経質さが現れている

屋上は佐々木彩夏の縄張り故に
生徒会長と言えどノックというマナーをもって対応している
いくらヤンキーとはいえ秩序を保つ集団のひとつとして黙認している
何よりノックせず扉を開けたら彩夏とれにの目合いの最中を見てしまいしどろもどろになったというものもある

ノックの後頬を赤らめつつも少し不機嫌そうな彩夏がそこに居た
(やはりノックして正解だったな)
そう思いつつ口を開く
「佐々木さん、お元気そうで」
「生徒会長か」
彩夏の奥にはれにの姿も見えた
丁度いい 2人に用があったからだ
「高城さん あなたにも話があります」
れには静かに頷いた

詩織は屋上に招かれた

「先程佐々木さん、2年生の喧嘩を止めましたよね」
「ああ、止めたよ」
「あの二人の派閥は今とてもデリケートな状態故にあの後2人の手下達がお互いの本部に喧嘩をふっかけるよう仕向けていると噂を耳にしました」
「なんだと…ちゃんと話し合ったのに」
「ご心配なく 私たち生徒会で2年生達を沈静化させることが出来ましたので」
「そうだったのか…手数かけたな」
「それで本題なのですが、最近謎の小集団による悪質な奇襲が起きているんです」
れにが口を開く
「その噂…あなたの元にも届いたか」
「ええ、穏やかではないですからね…くれぐれも気をつけてくださいということと、高城さんあなた何か情報を持ってはいませんか?」
「生憎そいつらが誰かは全くわからない…偵察部隊を送っているのだがなにせ対象が無いから見つからなくて困っていたところなんだ
とりあえず言える事としてはこの学校の生徒ではないという情報だけなんだ」
「やはり他校の生徒でしたか」
「学生とも限らないんだ…ただこの学校でしか起きていないというのが何かあると踏んでいる」
「そうですね」
「情報が入り次第生徒会長にはすぐ届けると約束するよ」
「よろしくお願いします」

話終えると詩織は屋上を後にした
「あ、奇襲対策にも鍵をかけておくといいですよ…色々あるでしょうから」
そう言うと彩夏とれには一瞬ポカンとしてから「お前もな」と笑っていた

廊下を歩いていると
絵に書いたようなリーゼントの集団が歩いてきた
百田夏菜子率いる集団だ
とにかく明るくてうるさくて元気で殆ど悪さをしない集団である
よく花の世話をしている心優しい一面もある
義理人情に厚く仲間のためには何でもする故に喧嘩は物凄く強いため恐れられている
「ようようよう生徒会長さんよ」
夏菜子がにやにやしながら近づいてくる
無視して立ち去ろとするも肩を掴まれる
「綺麗なお花が咲いたんだぜ」
「それは良かったですね」
詩織は一切夏菜子を見ようとしない
そのまま詩織は去っていった

「ちぇ…つれないやつ」
夏菜子は仲間たちと野球をしに校庭に向かうのだった
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ