とある男子高校生の受難

□残念無念、腐男子君。
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蓋を開けてみれば生徒会の皆様は全校集会でちらっと顔を見られただけで、クラスメートにもそっち系(いわゆる同性愛ね)の人はいなさそうだし。
そもそも一年生のうちは外部生はエスカレーター組とクラスが別々で、今んとこ同じ外部生としか交流がないから仕方ないことなんだけど。

だけど、来週は生徒会主催の寮の集いや新入生の歓迎会があるからそれに賭けてるんだ。

そもそも今んとこ学校や寮の廊下を歩いてても外部生だらけの環境にいるわけだから、エスカレーター組の人達と交流すること自体が至難の技だ。
廊下を走ってて生徒会役員の方々とぶつかって……な嬉しいハプニングがあるはずもなく、せいぜい男だらけの周りを眺めて、それなりに美形のクラスメート二人の掛け算の妄想で悶えるぐらいかな。

寮の部屋割りも一、二年生が二人部屋で三年生が一人部屋の王道なんだけど、そのルームメイトが実は平凡に見えて隠れ美形でしたなオチ(高橋君ごめん)もなく、現実はそう甘くない。

「ほら、高橋君。寝るならベッドで寝なきゃ」
「んー……」

外部生の僕のルームメイトは同じ外部生の高橋君で、彼は平凡とも美形とも不細工とも形容しがたい、とにかく至って普通の容姿をしている。
高橋涼太って名前も普通、見た目も平均的な日本人だと言えるぐらいに至って普通。
育った環境もとにかく一般的で普通の家庭なんだと思う。
だから最初は、彼を平凡キャラだと思ってたんだけど。

身長や体重も普通で、成績も普通。
性格や趣味もとにかく普通で。
視力も普通なのか眼鏡を掛けているわけでもなくて、それらを踏まえるとBLに於ける一般的な平凡キャラには到底当て嵌まらない。

つまりは高橋君はこれと言って目立った特徴がなくて、その取り扱いに困ってしまうんだよね。

体型的にはこれまた普通の中肉中背で、これもノッポ×チビ的な特徴的なカップリングにも当て嵌めづらい。
高橋君は間違いなくノンケだろうし、誰かとカップリングするとしたら僕的には右側なんだけど。

他にもいろいろ考えてみけど、とにかく普通すぎて(本当にごめん!)高橋君で妄想するのは難しかった。

これなら、まだ僕の方が想像しやすいかも。

(――え?)

そう考えた瞬間、ある考えが僕の脳裏を掠めた。
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