ノンケとビッチ
□マリモ危機一髪
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「ねえねえ、ねえってば」
お願いだからほっといて欲しい。
俺は今まで平々凡々、至って普通に過ごして来たんだから。
ぷるるんリップにぱっちりおめめ、くるりん睫毛の美少女がさっきから執拗に付き纏ってくる。
ふわふわのハニーブラウンの髪が風に揺れ、すれ違う生徒が漏れなく振り返った。
「聖夜、冷たいーーっ」
冷たくて結構。
つか、この顔、この可愛さで股間に俺と同じ棒が一本と二個のボールがぶら下がってるんだよな。
それがなんか不思議な気がした。
この無駄に可愛い天然チワワは、1年A組の瀬戸麻理也。
瀬戸麻理也と言えば、高等部に入学早々、高等部の抱きたいランキング一位を獲得してしまったつわものだ。
噂によれば、入学初日に副会長のお手付きになったとかならないとか。
とにかくそこにいるだけで恐ろしいほど目立っていて、実際にさっきから麻理也を見るついでに俺のことまで見て来る。
幸い俺のことはマリモがなんで麻理也ちゃんと……とかなんとか否定的な見方ばかりだけど、麻理也の隣にいるのは生きた心地がしない。
「ここじゃ目立つからこっち来て」
「きゃんっ、聖夜ったら大胆」
台詞の最後に『☆』マークが付きそうな声色でそう言う麻理也を、俺は中庭の隅のベンチに連れ出した。