とある男子高校生の受難

□残念無念、腐男子君。
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それは、僕自身を誰かとカップリングして萌えられないかな……って言うこと。
つまりは自給自足ね。

自分で言うのはなんだけど、僕は典型的な平凡顔に小柄(しかもちょっぴりぽっちゃり)な体型をしていて、おまけに平凡のマストアイテムの眼鏡まで掛けた腐男子だったりする。

名前も『高橋涼太』の高橋君に比べて僕の名前の『大和葵』はBLの受けキャラにありがちな名前だし、他にも僕は何気に料理も得意だし、裁縫なんかも得意だったりするし。

よくよく考えてみれば僕ってば、BLに於ける平凡な腐男子キャラの特徴を全部備え持ってるんじゃないかな。
現実の僕が生徒会の皆様や風紀な方々、人気者から好かれるかどうかは別にして。
僕みたいな地味な見た目なやつも、平凡キャラにに当て嵌まるんだって今更ながら気付いちゃったよ。

なんて言うか、高橋君って、とにかく普通で地味でも派手でもないんだよね。
これって平凡キャラの特徴には当て嵌まらない。
口調も普通に『俺』で、口が悪いわけでも特に可愛い口調なわけでもないし。

それに比べて僕は自分のことをずっと『僕』って呼んでるし、よくよく考えてみれば僕ってば完全に平凡キャラじゃん。
高橋君だと上手く妄想出来ないけど、僕だと普通に右側に当て嵌められちゃうし。

まだお会いしたことがないから本当はどうだかわからないけど、俺様で見た目がちょっぴり不良な生徒会長に弄られてもいいし、王子様で腹黒い副会長から無条件で愛でられてもいい。
残念ながら幼なじみでもなんでもないけど、古風で日本男児な書記から心配されたり、同じく吃音な書記と仲良くなったり、チャラ男な会計に何故だかとても気に入られたり。

ああもうどうしてくれよう。
そう考えれば考えるほど、自分が平凡キャラだったんだと自覚しちゃうんだけど。
ルームメイトの高橋君で萌えられないのはとても残念だけど、それなら自分で萌えたらいいだけだ。

どうしよう。
そう考えたら俄然楽しくなってきた。

ビバ、平凡腐男子な僕。
ビバ、自給自足!
ビバ、王道学園!

頑張って勉強してよかったな。
うちの学校に入学出来て、本当によかった。

「高橋君ってば。ほら、自分のベッドに行こう?」

別にこのまま妄想しててもいいんだけど、妄想しやすいように生徒会役員の方々とお近づきになろうと、単純な僕は早速行動に出たのだった。
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