アメジスト・オニキス

□原石
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「あ"ぁ"ああぁぁあはは"ははは…!!」
悲鳴とも笑い声ともつかない声がヴェネチアの裏路地に響き渡る。
「あ"ぁ…あぁ!!」
まだ年のいかない16歳の少年が、先程まで喋り生きていたまだ生温かい肉塊を必死で揺すっている。もうただの肉の塊に過ぎないと言うのに。
ピカッ ゴロゴロゴロゴロ…
激しく打ち付けるような雨は、少年をまるで嘲笑うようにも、少年の心を表しているようにも見えた。
「ゆ"る"さ"な"い"…」
少年は深紅の瞳に復習の炎を燃やした。


アマジ side
僕の母が何者かに殺害されてから4年の月日が流れ、僕は二十歳を迎え大人になった。
今でも鮮明に覚えている。鉄臭くて赤黒くテラテラと光る血の温かさも、だんだんと冷たくなる母の死体の触感も。
僕はこの4年の間に母の死について血眼になって情報を集めてまわった。そうするうちに、母を殺したのは犯罪組織、いわゆる"ギャング"に違いないと確信を持つようになった。
母は人に恨まれるような人間ではなかったが、逆にそれが気に入らないものもいたのだろう。


最も有力な候補としてはイタリアで最も勢力の強いギャング、パッショーネの暗殺チームだろう。
そう確信を持ち、どうすれば僕の母を殺した暗殺チームに復讐ができるだろうか…?
「必ず敵に復讐してみせるよ、母さん。」
母の骨片の入ったロケットに口づけをし、決意をする。
もう僕には失うものなど何もない。一か八かの捨て身の作戦。
僕はパッショーネにある暗殺チームと"対"になるような存在、護衛チームに入ることを決めたのだった。
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