長編(混合)

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ぽけーっと空を見る。


青く、青く。どこまでも広がる眩しい空の下には

小さな小舟と、同じくどこまでも広がる海。




「...うん、なんだこりゃ。」


名無しさんは小舟に寝転がりながら冷静に、それでいて戸惑っていた。


時は遡り1時間前。








「ハァッ、はアッ、」


逃げなきゃ、逃げろ、逃げるんだ。


あいつ に捕まったら、何もかも終わりだ。


ッ、どうして日本にいるんだよ...


"ヴォルデモート" !!!


姿くらましを使い、何度も逃げる。

でも、あいつはわかっていたかのように姿あらわしをした先に居る。



恐怖、絶望、焦燥。色んな感情が交わって。


逃げて、逃げて逃げて。

その先は暗い海を背に持つ崖だった。


前を見れば、歪な笑みを浮かべたヴォルデモート。


なんだよ、これ。はは、まるでどこかのサスペンスのようだ。


「はは、ははは、は、...笑っている場合ではないんだけどね。」


「ついに追いつめたぞ...名無しさん...!
さぁ、こちらへ来たまえ。私の手を取るのだ。」


そのぺっちゃんこな鼻で、歪な笑顔で、私をここまで追い詰めるヴォルデモートにいらいらが止まらなくて。

ついに言ってしまった。


「うるせぇ蛇頭!!!!!!!!」








「......おぉ、そんな強気なところも素敵だ。
さぁ、私と共に来い。そして私と婚姻を結べ!!!!」



そう、私は求婚されていた。あのヴォルデモートに。

私のどこが気に入ったのか知らないが、どっからか情報を集めはるばる日本にやってきたというわけだ。そして結婚しろと。


もちろん、断った私はさんざん追いかけ回された挙句追い詰められ、


ヴォルデモートと結婚するくらいなら、と海へ飛び込んだ。


海の中で姿くらましをしようと、杖を握りなおそうとした時。

何故か海底が光っていた。

それはとても綺麗で、眩しく、切なく。

惹き付けられるように手を伸ばし、光に触れた瞬間。

海の中だというのに突風が起こり思わず目を瞑った。



で、目を開けたらこれだ。


そう、何故か私は小舟の上に乗っていた。

眩い空に目を細めながら当たりを見渡す。


「...??」


何か、変だ。

飛び降りたはずであろう崖が無いのだ。

それどころかここは海の真ん中のよう。


ぽけーっと空を見る。


「...うん、なんだこりゃ。」






magic&magic
 

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