【お団子大好き最強忍者】

□右側の温もり
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〜姫side〜

目を閉じてもわかる日の光と
冷たい空気に身震いしながら
布団を被る

無意識にそこにあるはずの
右側のぬくもりを求めて擦り寄ると
優しい手が髪を撫でる感触があった

良かった…
“今日は起きてもまだ一緒にいられる”

まだ重たいまぶたの裏で
幸せなぬくもりに包まれて
思わず頬が緩んだのだった。



〜才蔵side〜

久しぶりにおやすみと声をかけ
お互いのぬくもりを感じながら
一緒に過ごせた日の朝

昨日拭ってやった涙の跡が微かに残る横顔を
見つめていると
その愛おしい顔がこっちを向いた

寒いのだろうか、身をよじりながら
微睡みの中、俺の胸元に擦り寄ってくる姿が
可愛らしい。

お前さんも分かってきたね。
無意識でも、自然と自分の方に寄ってきてくれるのは
やっぱり嬉しくて自然と広角が上がってしまう。

忍者は常に危険と隣り合わせ
寝る時も己の心臓を守る為
心臓の方を下にして横向きになって寝る。

愛おしい人の顔が見たくて
共に寝る時にはこれが定位置になっていた。

もちろん、心を休めて眠りになんて付けない
いつ何がおこるか分からないそれに対応する為に
常に気を張っていなくてはいけない
目の前の宝物を危険に晒すわけにはいかないからね。
それでもこの愛おしい寝顔を見ると
荒んでいた心が潤って行くような気がした。

思わず伸びた手で、髪を撫でると
姫が気持ち良さそうにしながら笑みをこぼす。

起こしてしまっただろうか。
そう思いふと手を止めてみるが
まだ起きる気配はない。

“お前さんには笑顔が似合うよ”

泣かせてしまってるのは自分である事は分かっている。
だけど…この笑顔の元に帰ってくる。
その思いが今の俺を突き動かしてくれているから…

起こさないようにそっと姫を抱きしめながら
再びまぶたを閉じたのだった。



〜end〜



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