【お団子大好き最強忍者】

□これからも。
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「才蔵さん!恋乱が3周年を迎えたそうです!おめでたいですね!」
「そ。」

誰かが勝手に決めた一年の区切りに別に興味は無いけれど、目の前にいる愛おしい姫と一緒にいられる時を残せる証だとしたら、それも悪くないと柄にもなく思う。

「上田に来てもう3年も経つんですね。本当あっという間だったなぁ。」
「お前さん、最初全然俺の事気がついて無かったよね」
「………もぉ!才蔵さん意地悪言わないで下さい!」

脳裏に桜の木の下で優しく微笑む少女の顔が浮かぶ。
忍は時に人としての感情を押し殺さなければならない。
幼くして数々の任務をこなしていた俺は、小さいなりにその事を理解しているつもりだった。
だから余計な感情は捨てた。それでいいと思っていた。
でもアイツは違った。
そしていつか俺にも分かると言って死んだ。

一人になりたくて何も考えたくなくてあの場所に行った。
ひらひらと舞い落ちる桜の花びらをただただ眺めていた。
あっという間に散る桜は、俺達忍の命と同じように見えた。

「…アイツが俺をあの木の下へ呼んだのかな」
「え?」
大事な人がいる幸せを教える為に。

「ほら、姫…おいで。」
「才蔵さん?」

膝の上にちょこんと座る姫をぎゅっと抱きしめる。

「才蔵さんは3周年嬉しくないですか?」
「別に。」
「そう…ですか。」
「お前さんは満足なの?」
「え?」
「もう離すつもりないって言ったでしょ。」
「…才蔵さん///それって…」
「3年なんかじゃ足りない。
俺の奥さんなんでしょ?一生傍にいてよ。」
「も、もちろんです!」

END



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