【お団子大好き最強忍者】

□浴衣姿
1ページ/3ページ

ー姫sideー

「わー!才蔵さん見てください!
屋台がいっぱいありますよ!」

「はいはい。
それよりよそ見してたら危ないでしょ。
ほら。」

「わっ…///あ、ありがとうございます///」

「どういたしまして。」

自然と差し出された優しい手の温もりにドキドキしながら
人混みを掻き分けて歩く

才蔵さんのいつもとは違う浴衣姿が更に私の心臓を煩くさせていた。

「何か欲しいものある?買ってくる。」

「それなら私が!」

「いいから。お前さんはここでじっとしてな。
その代わり変な男に絡まれたら許さないから」

急に顔を近づけてきた才蔵さんは私の耳元でそう呟いた。

「くくっ。熟れた林檎」

「…これは才蔵さんが!」

「そ。」

そう言うと、温かい視線と共に
私の唇を彼の親指がそっと撫でた。

これがなんの合図なのか私は知っていた。
こんな人前で?という戸惑いが通じたのだろうか。

「俺だけ見てな。姫」

彼の色香に魅せられると
あっという間にその唇を奪われていた。

「…ん…ぁ…待っ…」

口内を味わい尽くすような口づけに
立っていられなくなりそうなのを
才蔵さんの浴衣に必死に捕まりながら
応えたのだった。


ー才蔵sideー

「才蔵さん、なんでこんな…いきなり…」

「さぁ、なんでだろうね」

頬を赤らめその潤んだ瞳が
俺に一生懸命対抗するように
まっすぐと見つめている。

さっきから艶やかな浴衣姿の姫に
男達への視線が降り注いでるのが
気に食わなかった。

しかも当の本人は何にも気が付いてなく
無防備にしている。

どうせこんな事になるだろうと
読めていた展開ではあったが
正直、もう少し警戒心を持ってもらわないと困る。

自分でもこんなに独占欲が強いとは
姫に出会うまでは気づかなかった。
こんなに年の離れた大の大人が
姫は俺のものだと周りの男を牽制する為だと知ったら
お前さんはどんな顔をするんだろうね。

そう思いながら
こんな可愛らしい姫の顔を
他の男に見られないように
そっと腕に閉じ込めたのだった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ