【お団子大好き最強忍者】

□団子より甘く
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「今日はいいお天気だなぁ。
よし!すぐ乾くはずだし、一気に干しちゃおう!
…きゃっ!」

庭で洗濯物を干していると
急に音も無く後ろから誰かに抱きしめられた。

こんな事をする人は他の誰でもない。
突然の事に驚きながらも
愛おしいその人に笑顔を向けて振り返った。

「もう…才蔵さん!驚かさないで下さい」

「…ねえ、団子食べたいんだけど」

こんな時、以前なら城下にふらっと
団子を買いに行ってたはずの才蔵さん。
でも、恋仲になってからは、私の団子がいいと
あまり他を食べなくなった。

美味しいと評判のお店もあるのに
私の団子を気に入ってくれてるのが嬉しくて
恋人としての嬉しさと、
美味しい団子を食べて貰わなくてはという
料理人魂を感じていた。

「じゃ、これ干し終わったら作りますから
待ってて下さいね」

そう言うと納得したのか
才蔵さんは手をひらひらとさせて縁側の方に歩いていった。

………

「才蔵さん、おまたせしました。
これからお団子作りますから待ってて下さいね。」

洗濯物を干し終わり、才蔵さんに声をかけて
炊事場に行こうとすると
珍しい光景にハッと動きが止まる。

「……才蔵さん?」

もしかして、寝てる?
縁側の柱にもたれながら目を閉じている。

「……。」

長いまつげが春の日差しに当てられてキラキラ光る。
あまりにも綺麗な寝顔に引き込まれていくと…

「寝込みでも襲う気?」

急に腕と腰を捕まれ気が付くと
才蔵さんの鼻にぶつかりそうになっていた。

「え…///そんなつもりn…///」

「いいよ。襲われてあげる」

そう言うと才蔵さんはくるっと角度を変えて
私を抱きしめたまま後ろに倒れ込んだ。

「お前さんにだったら何されてもいいよ…」

そう言いながらそっと、まぶたを閉じる才蔵さん。

「…姫、ほら早く」

まるで口づけを催促してくるような仕草に
愛おしさと恥ずかしさが募る。

「才蔵さん…」

それでも口元への勇気は出なくて
おでこにそっと唇を合わせた。

「そこじゃないでしょ?
襲うならちゃんとしてよ。」

「だって恥ずかしい…///」

「大丈夫。誰も見てない。」

そう言うと耳を塞がれて
本当に2人だけの世界になったように感じる。

「…ちゅっ」

1回だけ。そう思ってその柔らかい唇に口付けると
不意にぎゅっと抱き締められ、なかなか唇を離して貰えない。
びっくりして、なんとか口呼吸しようとした瞬間
才蔵さんの舌が歯列を味わうように
入り込んできた。

「…さ、才蔵さん待っ…私…お団子つく…っ…」

「団子よりこっちの方がいい。」

ふっと向けられた艶やかな笑顔に
逆らえるわけもなく
団子よりも甘いひとときを過ごすのだった。



〜end〜



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