ごちゃまぜ

□もう一つの卒業試験
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「用意…スタート!!」




10時と同時に飛び出した俺達

初めは軽快に周を重ねていく

だが、ペース配分を考えないバカが1人




『おい!翔陽!いくら何でも飛ばしすぎだ!』

「でも、間に合わないよ!!」




今のペースで行ったら、間に合うか間に合わないかの瀬戸際

翔陽の気持ちも分からなくはないが、あのペースだとすぐにバテるぞ…




「はい、50周ね。うん、今25分だから、いいペースなんじゃない?」




早くも俺達は50周を越した

今はいいペースなんだろう

このままペースを落とさなければ…




『大丈夫か!?テツ!!』

「はい…気にせずに行ってください…」




80周を超えたくらいからテツのペースが落ち始めた

元々体力がないテツだ

テツにしては、保った方だろう

そして、俺達の前を走る翔陽とも距離が縮まってきた

つまり、翔陽のペースも落ちてきたと言うことだ




『テツ…』

「行ってください…ボクに合わせる必要はありません」

『…先行く』

「はい…」




なるべく、時間を稼ぐように少しペースを上げた

バテない程度に…




「つ、疲れた…」

『そんだけ飛ばせば、そーなるだろうよ』




だが、まだ100周にも満たしていない

正念場はここからと言うことだろう




「あれ?テツヤは…」

『後ろだ。あんまりしゃべってると体力奪われるぞ』




そう言えば、翔陽は固く口を閉ざした




「はい、100周目ね。テツヤとの距離が開いてきたな…あ、ちなみに、1時間ジャストね」

『クソッ!』




思ったよりもペースが落ちてる

これじゃあ、間に合わねぇ




『俺はもう少しペースを上げるぞ』

「え?ウソ!?ちょっ、まっ…!」




俺は翔陽の言葉を待たずに地面を強く蹴った

足が重てぇ…

流れてくる汗もウゼェ…

だけど、そんなこと言ってるヒマはねぇんだ!




『150!!』

「うん、いいペースだ。約1時間半ってとこだな」




150周を迎えた時には、翔陽とは3周、テツとは10周ものリードを取っていた

このまま行けば、俺は時間内に何とかゴール出来るだろう

だが、翔陽はまだしも、テツはどうだ?

テツのペースのままゴールを迎えることは不可能に近いだろう




『うぉらぁぁぁっ!!』




鉛みたいに重たい足を気合で動かし、さらにペースを上げれば、それを見たテツも何とか必死について行こうとペースを上げた

だが、俺について行くことは出来ず、さらに3周と言う差が生まれた




『っしゃあぁ!!』

「はい、お疲れ様」




俺は1時間45分と言う記録で200周を終えた

ゴールした俺にヤマメ先生が水の入ったボトルを渡し、半分を一気に飲むと、残りの半分は頭からかけた




『先生、200周以上回ってもいいんでしょ?』

「構わねぇよ」

『じゃあ、行ってくる』

「はい、行ってらっしゃい」
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