短編

□あの頃のBirthday
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〜〜〜

「「「「誕生日、おめでとう/ございます!!!」」」

「嬉しいねぃ。ありがとよ」

マルコが照れながらお礼を言うとろうそくを消した。

隊長の誕生日には宴が行われるがマルコのは特別豪華だ。
それほどみんなに慕われているのだ。

すぐに始まったどんちゃん騒ぎに呆れつつ綺麗な満月を見上げた。
普段独り占め出来ているから特に不満はない。
誰よりも先に愛おしい彼を祝ったし、プレゼントも喜んでくれた。

「よっし、エース!野球挙するぞ!!」
「圧倒的不利じゃねェか!」
サッチの誘いに上半身裸のエースが抗議するが周りの人がはやし立てるとノリノリでし始めた。
呆れたように見ているマルコも、仲間たちも、笑いながらみんなを見守っているお父さんでさえもいつもよりテンションが高かった。

「若ェ体をあんまり見てんじゃねェよぃ」
そういう目では見ていなかったのにエースたちに夢中になった仲間の間を抜けて私の隣に来た今日の主役にそんなことを言われた。
サッチが上半身裸、エースが下着だけになってさらにヒートアップしたようだ。
「全然そんな目で見てないわよ。」
「そうかぃ」
「意外とヤキモチ妬きだよね」
「悪ィか?」
んーん、と首を振るとジト目で見られた。
常日頃目があまり開いてないから分かりにくいけど。

「おおーっと、そこのおふたりさん!何俺らのこと無視していちゃついてんだよっ!」
いつの間にか下着一枚になっているサッチが指を指してきた。
「アホ丸出しだよぃ」
ひとしきり文句言ったかと思うと、最後の一枚をかけて勝負した。
「うおぉぉー!!!」
負けたサッチが潔く下着に手をかけたから見ないようにすると隣にいたマルコに抱きしめられた。
みんながバカ笑いしているから私たちなんて忘れられているだろう。
「マルコ、これからもそばに居てね」
「当たり前だよい」
軽く唇を重ねると少し離れて笑いあった。

〜〜〜


「誕生日おめでと」
前のとは違って随分簡素な机に向かって海図を書いていたらしい彼が振り向いた。
そして、少し笑った。
「ありがとうよい」
本人は忘れていたのかカレンダーと時計を確認していた。
宴なんてしないだろう。みんなまだ親父、エース、サッチ、その他の仲間を失ったショックから立ち直れていないのだから。
マルコが机から離れて私のいるベッドに座った。
「あの頃の誕生日ってさ、エースとサッチが野球挙してたよね」
「あったねぃ。あいつらがいるだけで明るかったからな」
「ねぇ、マルコ。生まれてきてくれて、今生きていてくれて、ありがとう」
誰よりも深い傷を負ったであろう彼は少し、情けない顔で笑った。私の前でしか出さない素の表情。
「大好きだよ」
あの頃を思い出して今日は眠ろうと持ちかければ一つ頷いてベッドに沈んだ。





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遅れた(・_・;)

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