短編

□寝顔
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「おい!名前、何してんだ?」
「ゾロの寝顔見つめてる」
腕を伸ばして抱きついてきたルフィを剥がしながら答えるとルフィも見つめはじめる。
「楽しいのか?」
「ん、んー...。楽しくはないけどカッコイイよね」
「だろ?ゾロはな、カッコよくて強くて最強なんだ!」
昨日は夜ずっと起きてたのかなかなか目覚めないゾロの前でルフィがゾロを自慢する。
「知ってるよ!さらに優しくて男らしくて頼りになるの!方向音痴なところは可愛い!」
負けじと返せばゾロの目が開いた。
「やめろ...」
少し照れたような顔もかっこいい。それだけ言うと目を閉じてしまった。
「ははっ、照れてる!」
大笑いすると気が済んだのかどこかへ歩いていった。相変わらずマイペースな船長だ。
「名前ちゃぁああん!そんなマリモの観察なんてやめてこっちでスイーツ食べない?」
「あ、食べたい!」
ゾロと私が付き合っていることなんてみんなが知っている。だけどサンジのスキンシップは特に減らない。肩にまわってきた手に苦笑しながら一緒に行こうとするとゾロが起き上がった。
「てめぇこのクソコック!その手を離せ!!」
「うるせぇクソマリモ!!名前ちゃん、俺にしときなよ!」
「人の女口説いてんじゃねぇよ!!!エロコック!」
サンジが楽しそうに笑っているからゾロをからかいたいだけなんだろう。
「男の嫉妬は見苦しいぜ?」
そう言うと私の肩を離して軽くゾロの方へ押す。ゾロが受け止めると同時に抱きしめてくれたから心がきゅー、と狭くなる。
「名前、何もされてねぇか?」
「うん。平気。寝てていいよ?」
少し眠そうな顔をしたゾロにそういえばあぁ、と答えて座り込む。そしてすぐ目を閉じた。さっきのようにジーッと見つめる。起きててもかっこいいけど寝顔が一番かっこいい。
「そんなに見るな」
「カッコイイんだもん」
「起きてるとダメなのかよ」
きっと私が近付いてることには気配で気付いてるんだろうけど特に動かないゾロの唇に自分のをくっつける。
「別にそーゆーわけじゃなっ!ちょっと!」
片目を開いて獲物を狙う獣のような顔をした。そのまま好き勝手口内を暴れるとわざと糸を引いて離してくれた。
「ばか!見られるじゃん!」
「あ?いいだろ別に。減るもんじゃねぇ」
胸板を叩いて訴えるけど聞く耳を持ってくれない。平気そうな顔をして!私は恥ずかしいのに。
「クソコックにお前が誰のものかちゃんと教えなきゃいけねぇしな。」
「え?」
ゾロが呟いた言葉が聞き取れなくて聞き返したけどなんでもない、と言われてしまった。
「スイーツなんて後でいいだろ、隣こい」
隣に座ると腕がまわってきて抱き寄せられる。そのまま寝息を立て始めたから動くわけにもいかず私も目を閉じた。



(あのクソ野郎!見せつけやがって)(ふふっ、仲が良くていいじゃない)

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