短編

□不安
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数ヶ月前から秘密のお付き合いを始めた先生であるクロコダイルの元へ行くために階段を降る。
ノックもせずに入ると少し眉間のシワが増えたけど気にせずにクロコダイルの机へ近付く。
「ノックくらいしろ。」
「はいはい」
ハァ、とため息をつくと立っている私の腕を引き寄せる。
これは膝の上に乗ってもいいサインだ。喜んで膝を跨いで座ると顔が近付いたクロコダイルの首へ腕をまわす。
自分から口を近付けると拒まれることなくキスをした。唇をこじ開けて入ってくる舌に自分の舌を絡ませながら腕を解いてネクタイを緩める。
スルッと外すとボタンに手をかける。自分の座っているところに硬いものが当たるのが分かった。ボタンも何個か外すと唇を離してクロコダイルの首筋を舐める。
「擽ってぇ」
意外と効くから可愛いと思ってしまう。反応を楽しんでいるとクロコダイルの手が制服を脱がせにかかる。
ーーーーーコンコン
突然のノック音にびっくりして声を上げそうになるとクロコダイルに手で口を塞がれた。
しっかり服を直すと私を机の下に隠す。
「はいれ」
「失礼します、たしぎです。委員会のことで確認したいことが」
たしぎ先生が入ってきたらしい。美化委員で顧問をしているからたまに来る、とは言っていた。この前クロコダイルに一番好みの先生を聞いたらたしぎ先生だと言っていたことを思い出してしまう。ドジだけどそこも可愛らしくしっかり大人っぽいところもあって私なんかとは全然違う。
少し長くなりそうな話をしているからつまらなく思ってクロコダイルのベルトへ手を伸ばす。ゆっくり音を立てないように緩めるとチャックをおろす。
焦ったようにクロコダイルの手が私の手を離そうとするけどめげずにボクサーを少しずらして萎えてしまったモノを取り出す。
舐めると少しずつ硬く大きくなっていくから楽しむように裏筋を舐め上げる。完全に大きくなると諦めたのかクロコダイルの手が頭を撫でる。
音を立てないようにしゃぶる。そろそろ話が終わりそうだ。自分の中に嫉妬という黒い感情が渦巻いていることに気付きながら必死に知らん振りをする。
そういえば1度もクロコダイルに愛の言葉を囁かれたことがない。好きじゃないけど付き合っているのかもしれない。本当はたしぎ先生が好きなのかもしれない。視界が歪むと涙が溢れてしまった。タイミングが悪いことにクロコダイルの手が頬を撫でた。
濡れたことに気付いて不思議に思ったのか手を確認していた。
「あぁ、わかった。あとは目を通しておく。」
そう言うとたしぎ先生は失礼します、と言って帰っていった。
足音が遠のくとクロコダイルが椅子を引く。その拍子に口からモノが出たせいで口の端に涎が伝った。
そんなことはお構い無しなのか私の脇の下に手を入れると抱き上げて膝の上に乗せる。
「おい、どうした。」
「なんでもない」
頬を包み込みながら親指で涙を拭ってくれる。
「なんでもないわけないだろ。何故泣いている」
機嫌が悪くなっていく。焦って自分で涙を拭うと無理やり笑顔になる。
「ほんとに!何でもないから気にしないで?」
「嘘くせぇ」
ほっぺを抓られる。手加減しているんだろうけどなかなか痛い。
「い、いひゃい...。」
「言え」
「いやら」
「.....」
無言で睨んでくる。だって言ったらこの関係が崩れるかもしれない。ふあん、だなんて、嫉妬した、だなんて子供っぽくて嫌かもしれない。
「うぅ..」
そんなことを考えていたらまた涙が溢れてくる。
「何でも聞くから言え」
呆れたような声に怯えながら諦めて口を開く。私が折れるまでこの会話は終わらないだろうから。
「この前聞いた時、クロコダイルがたしぎ先生のこと好みだって言ってた。それに私、1回も好きだって言われてない...。好きじゃないならなんで付き合ってるの?」
ボロボロ涙を零しながら途切れ途切れに伝える。深くため息をついたのがわかる。子供っぽくて面倒だろう。
「俺、そんなこと言ったか?」
「言ったっていうか聞いたらあぁ、て」
本当に覚えていないのか何かを考え込む。
「....聞いていなかったかもな。適当に打った相槌だろう。あの女はタイプじゃねぇな」
「じゃあ誰よ?」
「....ハァ。質問の答えも一緒に返すからな。
タイプとか好みはよく分からねぇが俺が今好きだと思っているのはお前だけだ。好きだと思ったから生徒だろうが自分のモノにしたくて付き合っている。」
そう言うと少し照れたような顔をして優しく口付けをしてくれた。違う意味でこみ上げてきた涙を必死に拭おうとしたら手を止められる。そのせいで流れてしまった涙をぺろ、と舐められた。顔が赤くなるのがわかる。恥ずかしい。
「伝えるのは得意じゃねぇが、出来る限りするから不安になるな。」
「うんっ、ありがとう。大好き!!」
クロコダイルに思いっきり抱きつく。軽く受け止めると頭を何度もなでてくれた。

「あぁ、俺も....。いや、俺は愛している」


(不安にさせて悪かった)(んーん、幸せだから平気!)

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