短編

□バラ
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泣きながらの卒業式も終わって玄関でナミたちと写真を撮りまくる。泣いた後だから顔がひどいけど。
シャンクス先生はたくさんの人に囲まれて告白されたりツーショを撮ったりしている。私も欲しいけどあの中に入れないし想いがバレていて恥ずかしい。
「あ、名前!やっと見つけた!」
女の子を沢山引き連れながらシャンクス先生が私の方へ来る。
っていうかなんでバラを持っているんだろう。貰ったのかな。
「ここでいい?移動したい?」
「え、どっちでも」
何がかは分からないから適当に返す。
「じゃあ傷付けたお詫びと、俺の本気度を知ってもらうためにここで!」
そう言うと深呼吸をし始めた。えっと、何をする気だろう。注目されすぎて辛い。
「卒業おめでとう。
生徒だからってずっと我慢してたけど俺は名前が好きだ!良かったら俺と付き合ってください!」
その言葉と一緒に突き出されたバラ。
頭がフリーズする。周りの女子が悲鳴をあげている。
「えっ....」
「もう遅いか?」
軽く下げていた頭をあげて私の顔を見る。顔に熱が集中するのがわかった。こんな大勢いるところでまさかの告白をされた。
「遅く、無いです」
冗談でこーゆーことをする人じゃないから本気だとわかる。視界が歪むと頬に何かが伝った。
「泣くなよ。」
近付いてきて指で涙を拭ってくれる。
顔に触れられるのが恥ずかしくて更に赤くなったのが自分でもわかった。
「キース!キース!」
「そーだそーだ!しちゃえよシャンクス!男を見せろ!」
「しねぇよ!!3/31まで高校生だからな!」
みんなにからかわれるシャンクスを少し気の毒に思いながら苦笑する。
「じゃあハグ!」
「しねぇっつの!」
「グララララ、すればいいだろう」
「うげ!校長!」
いつの間にか野次馬の中に校長先生までいた。ほかの人と一緒にからかって笑っている。
「ハーグ!ハーグ!」
「ハーグ!ハーグ!」
「キース!キース!」
ハグコールがすごい。シャンクス先生の額に青筋が見えた。怒ってるなあ。
「だー!!わかった!してやるよ!ってか誰だキスを混ぜたの!」
怒りながら言うと私の腕をつかむ。
「いいか?」
「は、はい」
グイッと腕をひかれるとシャンクス先生の腕の中へはいる。
「ヒューヒュー!」
「イヤァアアア!」
冷やかしと悲鳴が聞こえてきたけどそれどころじゃない。シャンクス先生の香りが、体温が、やばい。心臓がバクバク動いている。でもそれはシャンクス先生もだった。
「うわぁ、恥ずかしい」
したくせに何を言っているんだ。私の方が恥ずかしい。恥ずかしくて顔を上げなかったらシャンクス先生が私の耳のそばに口を寄せた。
「名前、愛してる」
もうきっと耳まで真っ赤だろう。シャンクス先生の腕が解かれると体も離れていく。
「あ、電話番号とメルアド教えて」
「シャンクス先生私もー!」
「交換しよー!」
シャンクス先生がスマホを出すと女子たちが盛り上がる。
「悪ぃな、名前限定だ」
ハハッ、と笑いながら言い放つ。妬まれて刺されたらどうしてくれるんだ。
「んー、まぁお似合いだしね」
「名前、派手じゃないけど綺麗だもんね」
どこからかそんな声も聞こえてきた。綺麗だなんて言われたことないけど純粋に嬉しい。
連絡先にシャンクス、の文字。嬉しくてにやけてしまう。
「おめでとう!名前!」
「ナミ!ありがとう!」
野次馬の中から出てきたナミとハグをする。
「名前はあれから落ち込んでるしシャンクスはうるさいし大変だったのよ?」
「シャンクス先生?」
何が大変だったんだろう。不思議に思って首を傾げると教えてくれた。
「やめろっ、ナミ!」
「名前が後輩くんに告白された時ねー、気持ちが傾いたかな?とか聞いてきてくれ、とかさ!他にも男子と話してると好きになったのかな?とか!ほんっと女々しい!」
シャンクス先生が止めようとしたけど気にせず話し始めた内容にビックリする。シャンクス先生の顔が赤いから本当なのだろう。
「悪ぃか!」
「嬉しいです」
ついつい緩む頬を抑えながら言うと軽く睨まれる。
「ニヤけてんじゃねぇよ」
拗ねたような顔で小突かれた。すかさずナミが殴り返していた。
「名前のナイトは私なのよ」
勝ち誇った顔で言うナミ。シャンクス先生は痛むのかお腹を押さえながらニヤリ、とした。
「あぁ、いいさ。俺はプリンスだからな!」
「似合わない!」
ドヤ顔をしたシャンクス先生をナミと一緒に笑った。それに対してまた拗ねていた。
3年間、シャンクス先生のことばかり考えて辛いこともあったけど片想いを続けてよかった。


(え!お前シャンクスが好きだったのかよ!)(どれだけ鈍感なのよ....)(俺は知ってたぜ、ルフィ!)(何でいるの!?)(弟の卒業式だからくるに決まってんだろ!あ、おめでとう!)

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