短編

□ミモザアカシア
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「え!?お前好きな奴いるのか!誰だ!?」
何でこんなことになっているんだろう。普通に面談をしていたはずなのに。
初めてシャンクス先生に会ったのは入学式の朝。少し早くついたけど中に入る勇気がなく外で時間を潰していたら声をかけてくれた。入学式が終わってクラス分けを見たら担任だった。先生、だなんて分かっているけどあの日からずっと好きだ。伝えたら関係が壊れてしまうから、伝えられない秘密の恋。
「なあ、教えてくれよぉー!年上か!?」
「そーですよ」
「まじか!あ、エースだな!」
3年のモテ男だ。同じクラスで仲のいいルフィのお兄ちゃんだからそこそこ話す。
「さぁ?」
ブーブー言うシャンクスに少し笑うと更にいじけた。
「あ、やべぇ!もう時間だな、もっと話してたかったなー!気をつけて帰れよ!」
無意識だって分かっているけどズルい。ドキドキしてしまう。
面談に使っている部屋から出て教室へ戻るとすぐに仲良くなれたナミとナミ繋がりで結構仲良くなったルフィ、兄のエース先輩がいた。
「次は俺だな!」
シャンクス先生が好きなルフィは嬉しそうに向かっていく。それを切なそうにブラコンのエース先輩が見ている。
「で、どうなのよ?」
「好きな人聞かれたくらい」
「うおっ、まじか!」
あったことを二人に報告する。この2人だけが唯一私の気持ちを知っている。ルフィを待ちながら話しているとすぐに10分たってシャンクス先生と帰ってきた。ルフィが今日最後らしい。
「お、まだいたのかー!じゃあな、お前ら!気を付けろよー!」
目が合ったシャンクス先生が私とエースを交互に見た。はっきり否定するべきだったな、勘違いしてる。
4人でシャンクス先生に別れを告げて同じ駅へ向かって歩く。
電車に乗って何駅か進むと降りる駅だ。三人にバイバイ、と手を振って降りると家まで一人で歩く。もちろん考えるのはシャンクス先生のことだ。
家に帰ってもシャンクス先生が頭から離れない。ナミには末期だと笑われた。きっと明日、エースとのことをからかわれるだろう。それすら楽しみだ。


「悪ぃ!書類まとめんの手伝ってくれ!」
朝玄関で捕まった。私の手を握りながら本気でお願いしてくるから断れる訳もなく一緒に書類をまとめる。ナミは適当に断っていた。気を利かせたのか嫌なのかは知らないけど。
「あ、わりぃ」
並べられた書類を一枚ずつとってホチキスで止めていると何度か手が当たる。その度過剰なくらい反応してしまう。
「おわった!俺これ忘れててさ、ありがとな。ジュース奢ってやる!」
購買まで二人で歩いていくとジュースとお菓子を買ってくれた。
「わーい!手伝ってよかった!」
「おー、お前はいい子だからな!数学の成績も学年トップで俺は嬉しいぞ!」
中学の時は数学が一番苦手でダメダメだったけど高校に入ってからものすごく頑張っている。そこを褒められるのは嬉しいことだ。
シャンクス先生と教室へ入るとナミがニヤニヤしていた。シャンクス先生が教室へ入ると女子が群がる。本気で好きかは分からないけどシャンクス先生は生徒に好かれる。生徒思いだし距離も近いからだろう。周りにたくさんの生徒がいるのに人一倍私に構ってくれるのはきっと私が成績トップだからだ。だからこの座は譲れない。想いは伝えられないけど傍にいたい。



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