短編

□1日の流れ
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名前の1日はスモーカーに起こされるところから始まる。
朝、ということもありいつもより険しい顔をしたスモーカーに揺すられる名前。
「起きろ、朝だ。」
「んんぅ....。」
眠そうに目を擦りながらなんとか上半身を起こした名前の頭を優しく撫でると猫のように擦り寄ってる。血こそ分けてないが赤ちゃんの時から面倒を見ているのでスモーカーから見ればわが子同然だ。
「名前、新しいワンピース来ていくんだろ?」
その言葉で一気に覚醒する名前。
「そう!ヒナが買ってくれてね!それ着てくの!クザンにもね、センゴクじぃじにもね、ガープじぃじにも見せるの!」
指を折りながら一生懸命話すわが子に普段は厳つく、部下からも怖がられるスモーカーの頬は緩む。
「スモーカーが一番だけどね!」
広いベッドからピョン、と飛び降りると子供用のクローゼットへ駆け寄る名前。スモーカーものそり、と起き上がるとパジャマから頭を出すのに苦戦している名前に近付いてパジャマを引っこ抜く。
「んぱっ!ありがと!これ着るー!とってー!」
望むワンピースをとって頭から着せると嬉しそうに鏡の前へ行った。
何度かクルクルと回るとまたスモーカーの近くへ帰ってくる。歩く度にゆれるバックのリボンがなんとも可愛らしい。白地のワンピースも肌の白い名前によく似合っている。
「可愛い?」
「あぁ。似合っている」
上機嫌な名前と手を繋いで寝室から出ると軽く朝食を作る。礼儀正しく手を合わせてから食べると顔を洗って歯磨きをする。スモーカーに髪の毛をとかして寝癖を直してもらうと出勤だ。


「おはよう。あら、可愛いわね!やっぱり何着ても似合うわ。ヒナ感激。」
「ヒナ!おはよー!これありがとう!スモーカーもね、可愛いって言ってくれた!」
「似合う、だけどな。」
相変わらずの仏頂面も見慣れれば怖くない。睨むように見下ろされたところで名前はノーダメージなのだ。
ヒナと分かれてスモーカーの仕事部屋へと歩いていく。手を繋いで歩く親子にももう周りは慣れていていつも通り挨拶をしながら通っていく。
「おはようございます!スモーカーさん、名前ちゃん!」
「たしぎー!おはよう!」
「あぁ。」
部屋へ入ろうとしたらコーヒーとオレンジジュースを持ったたしぎがきた。
「オレンジジュース!ありがと!」
コーヒーをスモーカーの机に、オレンジジュースを名前のいるテーブルへ置くと下がっていくたしぎ。廊下で会わない限りお昼までは会えないだろう。
いつも通り画用紙とクレヨンを広げてお絵かきを始める。
奥ではスモーカーが葉巻を咥えて書類に目を通し、サインをする。
「名前、頼む」
何枚か終われば束ねて直属の上司であるクザンの元へ届けなければならない。それは名前の仕事だ。子電伝虫とスモーカーの連絡先が書かれている紙を一緒にポシェットへいれてクザンの元へ向かわせる。クザンが名前を離そうとしないから帰ってくるのは当分先だろう。スモーカーは今のうちに書類を片付ける。部屋に名前がいるとどうも気になってしまうのだ。


部屋から出て一人で歩いていく名前は途中でいろんな海兵さんに話しかけられながらも無事クザンの部屋へついた。
「コンコーン!」
クザンの大きさ基準のドアを開けれるはずもないので外からクザンを呼ぶ。
「名前ちゃん、これまた可愛い服を着ちゃってー!おじさんにやけちゃう。」
でかいドアの前でちょこん、と立っている名前を大切そうに抱き上げると自分の机まで歩いていく。
「これとー、これとー、これ!お名前書いてね!ちゃんとお仕事しなきゃメッ、よ!」
「名前ちゃんが頑張れって言ってくれたらおじさん明日の分の書類まで頑張れちゃう!あ、ほっぺにちゅーも忘れずにね!」
「クザン頑張って!ちゅー!」
膝の上で立ち上がってクザンの頬へ口付ける。クザンのところへ来ればほとんど毎回お願いされるが名前は全然嫌じゃないので喜んでしている。
「頑張る!あ、名前ちゃんこれあげる。あとこの書類をセンゴクさんのとこまでー」
「クマさんチョコ!ありがと!」
自転車でふらりと出かけた時に買ったクマの形のチョコをあげればすごく喜んでポシェットへ入れていた。渡した書類を大事に持ってクザンの部屋から出ていく。
「本当はもっと一緒にいたかったんだけどな」
机に溜まった書類を見て苦笑いをするしかない。これを明日の分まですると約束をしてしまったのだから。
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