短編

□王様ゲーム
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「王様だ〜れだ!」
「グララララ、俺だ!3番が1番の上の服を脱がせる!」
遂にお父さんも酔いが回ってきたらしい。1番がエースだったらどうするんだろう。皮をはぐのかな。まあエースじゃなかったけど。
「着物の脱がせ方なんて分からないよ!」
「教えてやる。」
3番だった私はイゾウの着物に四苦八苦する。イゾウが教えてくれるけどわざと色気を出してくる。
「んっ、そうだ。いいぞ。」
「それやめてってば!」
真っ赤な顔をして抗議をするが楽しんでいるようだ。着物を上半身脱いでいるイゾウの色気はすごかった。意外と筋肉もすごかった。
「ん、よかったぞ。」
「何がよ!!」

「王様だ〜れだ!」
「よっしゃ!サッチ様だ!1番と4番がさっきの俺とエースより長い時間ディープキスする!」
「俺が4番だよい。」
「なんでいちいちマルコと当たるの!!」
さっきの比じゃないくらい顔に熱が集中する。
「じゃあ誰が良かったんだい?」
「お父さん。」
「奇遇だねい、俺もだよい。」
半泣きだよ、ディープキスなんてしたことないし見たのもさっきが初めてだ。
「は、初めてだからね!」
「誤解を招くわ!!」
サッチにつっこまれる。フッ、と笑ったマルコに手招きされて抱きしめられる。
「優しくするよい。」
そう耳元で囁かれたと思ったらマルコの顔面ドアップが目の前にあった。
「んあっ。んぅ...」
唇が合わさるとマルコの舌がゆっくりとはいってくる。優しく舌をなぞったかと思ったら激しく追いかけてくる。何も考えられないくらい頭がポーっとしていた。
「あぁっ...。ハァハァ。」
どれくらい経ったのかやっと離された時には腰が抜けていた。
「そんなに良かったかい?」
そう言いながら腰に手を当てて座らせてくれる。
「なんか、もうよく分からない...。」
「すっげぇ声が漏れてたぞ!」
エースに笑われる。
「エースには言われたくない。」
俺もだったのか!?とショックを受けるエース。

「王様だ〜れだ!」
「俺だね。じゃあ、2番が5番に告白をしてからキスをする。」
「グララララ、2番だ!」
「きたぁああああ!俺が5番だよ!」
エースが心から喜ぶ。
「エース、お前は芯が強いし他人を思いやれるいい息子だ。愛してる。」
つまみあげるとお父さんの大きな口とエースの口が一瞬合わさった。
「あぁぁああああああああ!!」
「発狂したぜこいつ!」
「エース、へーきかー?」
下ろされると甲板で顔を覆いながらゴロゴロと暴れるエース。
「やべぇ俺もう一生歯磨きしない!」
「しなさい。」
興奮が抑えられないエースを白ひげは楽しそうに見ていた。

「王様だ〜れだ!」
「きた!俺いいこと思いついたの!3番が俺にキスをする!」
5分の1じゃないか。その可能性に賭けたのか。
「残念だな、俺だ。」
イゾウはささっと済ませたかったのかサッチの胸ぐらを掴んで引き寄せると可愛らしく、ちゅっと音を立ててキスをした。

「あと2回にしようぜー!親父の唇は俺だけのもんなんだよ!」
夜中を超えて日が登ってきそうな時間だ。
「絶対引き当てるぜ!!」
「王様だ〜れだ!」
「あ、私だ!チャンスをあげよう!2番が4番とキスをする!」
「おれ4番!」
サッチが勢いよく挙手をする。
「グララララ!2番だ!」
「きたぁあああああ!神様仏様名前様!!」
泣きそうな顔をして喜ぶサッチ。
「親父!エースとのより激しいやつ!」
「グララララ、お前がしてくればいいだろう!」
お父さんに持ち上げられるとやる気満々だ。お父さんの唇を丁寧に舐めたり唇を合わせたり。興奮してるサッチは正直気持ち悪かった。

「最後だね!王様だ〜れだ!」
「俺だね。じゃあ今ここに好きな人がいるヤツは告白する。」
もはや番号じゃなくなったし!全員お父さんのことが好きだし!
「俺するよい。」
「あ、次私で!私もお父さんに愛を語りたい!」
じゃあ俺も!と手をあげるエースと呆れるイゾウ、サッチ、お父さん。
「前から好きだったけど今回のことで余計好きになったよい。俺と付き合わねーかい?」
え?付き合う?何の話?と思って顔を上げるとマルコは私を見ていた。
「え?付き合う?え?えええ!?」
「おっさんじゃだめかねぃ?」
少し困った顔をされる。
「いやいや!私も好きだったから、ビックリして...」
「まあ知ってたけどねぃ。」
バレバレだったらしい。今回の王様ゲームも何かあったらなあ、って思って企画したし。
「なのに王様ゲームとか。キスする相手が俺じゃなかったらとか考えちまったよい。」
「あはは...。」
言葉も返せない。女は私の他にいないから何の心配もしてなかった。
「笑い事じゃねぇよい!そうなったら強制終了だったよい!」
「みんなお前らの気持ちわかってたからしねぇって!フリくらいならあるかもしれねぇけどよ!」
「どうだかねい。」
「まあ良かったじゃねぇか!グララララ!」
みんなに祝福されて王様ゲームは幕を閉じた。
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