短編

□いたずら娘注意報2
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ものすごく暑い日、倉庫からでかいビニールを引きずり出す。各々が好きに過ごしている時、甲板を占領してビニールを広げる。
「あ、ジョズ!いいところに!これ膨らませてー!」
体がでかいジョズなら肺もでかいだろう。技の精度を高めていたジョズを捕まえてお願いする。
15分ほどするとジョズは顔を真っ青に、ビニールは空気を蓄えてパンパンになった。
「ありがとー!プール完成!はいる?」
「能力者にそれ聞くか?」
断られたから一人で入る。
「暑さで頭がやれたのかよい?」
なかなかでかいプールに仰向けで浮いているとマルコが声をかけてきた。
「マルコぉ、はいろー?」
「暇じゃないんでねぃ。」
プールを広げて遊んでいるガキとは違って、と言いお父さんの部屋へ行ってしまった。よし、次に来た人は絶対引きずり込む。

「あっはは!でなー、サッチ!」
「まじか!それはウケる!ははは!!」
賑やかな二人組が来た。サッチとエースだ。
「なんだあれ?」
どっちかの近づく足音が聞こえる。
「お、名前じゃねぇえええ!?てめぇ何する!」
来た人の腕を無理やり引っ張る。
バシャーン!という音と共にはいってきたのはエースだった。
「よりによって能力者の俺を引きずり込むか!?」
「気持ちいーよね!」
「確かに!暑い日のプールは最高だぁ!力が出ねぇけど涼しいー!」
エースとプールの中で涼む。
「おいおい、戦闘になったら使えねーじゃねぇか。」
呆れたように笑うサッチの腕も同じように掴んで引っ張る。だがそんなこと想定範囲内なのかビクともしない。
「エース!手伝って!」
「悪ぃ、力が出ねぇんだ。」
縁に寄りかかってこっちを見ているエースへの怒りも込めてサッチの腕を引く。
「お前は能力者じゃないんだから別にいいだろい?」
ーーーーバッシャーン!!!
マルコの声が聞こえたと思ったらサッチが降ってくる。マルコが蹴飛ばしたようだ。
「おいマルコ!なにする!!」
「グララララ!お前ら何歳だぁ!?」
水の中でも力が出せるサッチがマルコを引きずり込もうとする。4人が甲板でプール遊びをしている光景にお父さんが豪快に笑う。
「マルコを引き込めー!!」
サッチと片方ずつ腕を捕まえて全力で引っ張る。
「お前らいい加減にしろよい!」
「お父さん手伝って!!」
昼間から酒を煽りながら楽しそうに見てくるお父さんに協力をお願いする。
「え、おい、親父!!嘘だろい!?」
親父の大きな手がマルコを掴んでプールの上まで連れてくる。
ーーーーバッシャーン!!!
盛大な水しぶきが上がった。
「グララララ、一番隊の隊長、二番隊の隊長、四番隊の隊長が何してやがる!」
「俺をいれたのは親父だよい。あー力抜ける。」
エースと同じように縁に寄りかかるマルコ。
「お父さんのとこまで水鉄砲飛ばそう!」
「よっしゃ、やったるぜ!!」
「いや、無理だろ!?」
そんなに離れてはいないが手で作った水鉄砲じゃ届くかはわからない。
「お父さん腕伸ばして!そう!あれが的ね!」
片手で丸を作るが上手くいかない。
マルコの手からは上手くピュッと飛んでいる。
「あー、出来ない!」
サッチはすごいところまで飛ばしていた。私は数センチだ。エースなんか1センチも飛んでない。
「つめてぇな!グラララ!」
さっきからサッチとマルコが容赦なく当てている。お父さんは冷たくて気持ちいいらしい。
「あーもうムカつくな!」
腹いせにマルコに向けて水鉄砲を発射する。見事顔面にヒットした。
「なんでこーゆー時だけ成功するの!?」
「いい度胸だねぃ」
ビュッとすごい勢いで水鉄砲が飛んでくる。水鉄砲の威力じゃない。
「痛いし!!目!!狙ったな!!」
水面を叩いて訴えると水がはねて隣にいたエースの髪の毛がワカメのように垂れ下がった。
「わ、わ、ワカメ!!あっはははは!ひーっひっひ!!」
指を指して笑っているとエースの手が頭に乗った。
これはやばい。
「ご、ごめんエースうっ!ゴボガハッ!ぐるじっ!ゲホッゴホッ!!むり!ちぬぅ!!」
かなりやばくなってきた時やっと解放された。
「あああああ!!鼻が痛い!!のども痛い!!」
「名前大丈夫かよい?」
そんな笑いながらの心配なんていらないよ!と言ってやりたいが鼻ものども痛くて喋りたくない。
「ブハッ!おもしれえー!!」
「おいおい、殺す気かよ?」
サッチだけは本当に背中を摩って心配してくれる。
「はあ、直ってきた!」
「お前達、何してるんだ?」
イゾウがすごく呆れながらこちらに歩いてきた。
「標的発見!」
「覚悟しろー!!!」
サッチと一緒にイゾウの腕をつかむ。着物だから服の上からだ。
「濡れた手で触るんじゃねぇ!!」
「「ヒィッ」」
すごい剣幕で怒られた。なんとも情けない声が私からもサッチからもでた。
仕方が無いからイゾウは諦める。

なんだかんだ4人で1時間ほどダラダラ遊んでからプールを片付けた。
「甲板で寝て自然乾燥だ!」
4人でゴロゴロ転がる。目をつぶればうとうととしてきた。


「ぐがーっ」
「寝たよい。」
「こっちも寝たぜ。」
「まだまだガキだねぃ」
マルコは起き上がるとタオルケットを取りに行く。その間にサッチはエースを転がして自分たちがいた場所を埋める。
「よいしょっと。これでいいよい。あとは放っておけ。」
タオルケットをかけるとマルコは着替えに自室へ帰っていった。
「なんだかんだ楽しかったぜ。」
サッチも名前の頭を撫でると自室へと歩いていった。

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