短編

□いたずら娘注意報
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幼い頃に親父に拾われた名前は甘やかされて育ってきた。だからなのか18になった今でもいたずらが大好きでよく船員を困らせている。ある時はイゾウの銃にそら豆を詰めて壊したりビスタの剣でエースとスイカ割りをして船にひびを入れたこともあった。でも一番被害にあっているのはマルコだ。今日の標的もマルコらしい。仲良く一緒に昼ご飯を食べに来た2人はカウンターに座る。
「エースがでけー魚釣りあげたんだ!だから今日は海鮮丼だ!」
「やったー!美味しそう!」
サッチが紹介しながら二人分の飯を出すと喜ぶ名前。唯一の妹は可愛くてサッチはついつい頬が緩む。
「しょ〜ゆ!かけて〜たべ〜ましょ!」
「なんだよい、その歌。あ、俺のにもかけてくれよぃ。」
「あ、マルコ隊長!すいませんが至急目を通してほしい書類がありまして!」
「わかったよい。」
部下に呼ばれてその場を立つマルコ。
変な歌を歌いながら自分の海鮮丼に醤油をかけ終わるとマルコの海鮮丼に醤油をかけようとして止まる。
「お前全部かけたりするなよ?マルコが病気になりそうだ。」
「サッチ!今すぐ倭の国で買った黒蜜持ってきて!!」
近くにおいてあるソレを取って名前のところに戻る。そしてやっと気付く。今にも笑いだしそうな顔をしている。サッチの手から黒蜜を取ると醤油に見えるよう細く垂らすとついに笑い出した。
「あははははははははは!!ひー!!!楽しみ!!」
「俺は、悪くねえからな...」
名前が自分の海鮮丼を口にかきこんでいるとマルコが帰ってきた。
「お疲れー」
「醤油ありがとねぃ」
それを聞いた名前が堪えきれずにフグッと笑った。そして最後の一口を食べると逃げるように食堂からいなくなった。マルコが何も警戒せずに大きな口で一口食べる。数回モグモグと口を動かすと動きが止まって顔が青くなる。甘いものが嫌いなマルコにとっては地獄だろう。ゆっくりと飲み込むと水をグビッと飲んで厄介ないたずら娘の名前を叫んだ。
「##NAME##ー!!!!!!!どこ行きやがったぁぁあああああああああ!!!!!!」
血管がブチ切れるんじゃないかって勢いで怒鳴るマルコ。
「ひゃははははははははははははははは!!!!」
遠くで名前の変な高笑いも聞こえてきた。逃げ切れるはずなんてないのに捕まるまでは楽しそうなんだ。
走り回って食堂まで帰ってきた名前と追い詰めるマルコ。
「え、ちょっと、落ち着こ?」
「落ち着けるわけねぇだろい!」
ーーーーゴンッ
グッと距離を縮めると名前の頭にげんこつを落とす。
「いっっっったぁぁあああああい!!!!ばか!マルコなんて禿げちゃえ!あ、禿げてるか!」
ーーーーガツンッ
さっきより力を込めて落とされたげんこつ。
「いやぁぁあああああああああ!いたぁあああああああい!!酷いよぉおお!!」
目に涙を溜めてマルコを睨みつけている。
「お前が悪いよい」
ハァ、とため息をついて自分の海鮮丼を見つめるマルコ。
「違うの、最近忙しそうでピリピリしてたから、糖分取った方がいいとおもってぇ...」
本当に痛かったらしい名前は泣きながらマルコに訴える。
「ハァ、気を使うところとやり方が間違ってるんだよぃ。名前来い」
まだ泣き続けている名前を引き寄せると頭を撫でる。
「殴って悪かったよぃ、でも甘いのは食えねぇんだよぃ」
「知ってるけどぉ、好き嫌いはダメだし...」
「ハァ、これは食べるからもうやめろよぃ。」
ぐずぐず泣きながらはぁい、と返事をする名前。
「なんだかんだマルコも甘ぇなあ!」
ハハハッと豪快に笑うサッチを睨みながら海鮮丼を食べる。可愛くすり寄ってくる名前の前で残せるわけがなくて死にものぐるいで食べきったマルコは午後体調不良で休んでいた。

愛あるイタズラ注意報

(ムカつくけど可愛いから許しちゃうんだよい)

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