短編

□想い
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ーーーードンドンッ
「名前!起きろよい!!」
マルコの焦った声で起こされる。
「何?」
マルコはドアを開けると腕を掴んで走り出す。
「え?え?」
甲板に出てみるとほとんどの人が出てきていた。そしてみんながエースを止めている。
「なんの騒ぎ?」
私の声にハッとするみんな。
「名前、落ち着いて見ろよい..」
マルコの視線を辿っていくと血の海に横たわるサッチの姿。
「うそっ!なんで!?サッチ!!」
サッチに近づく。
「サッチ!!サッチ!!!!」
「名前...」
マルコが近付いてくるのを無視してサッチを抱きしめる。昨日まで生きていて温かかったサッチはもう冷たい。
「うわぁぁぁあああん!!!」
みんながいるのもお構い無しで抱きしめながら泣く。
「サッチ、お願い起きて!!ねぇ、好きだよ!ちゃんと言うから...」
遅すぎる言葉。なんで言ってあげられなかったんだろう。サッチはいつも言ってくれてたのに。好きなのに。
「好きだよ...」
サッチの血が私の服を、心を染めていく。想い出が溢れる。想いを伝えるには遅すぎた。言うタイミングなんていくらでもあったのに。いざ向き合うと怖くて逃げていただけだった。
もう伝えても微笑んでくれる人はいない。

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