短編

□浮気者
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あぁ、まただ。夜目が覚めると彼がいなかった。

浮気者


まだ夜は冷えるから寒くないようブランケットを肩にかけてサイドワゴンの一番下から愛用の銃を取り出す。
部屋から出てゆっくりと歩く。怒りが収まらない。空き部屋を一つ一つ見てまわる。何部屋か開けたところでたどり着いた。開けなくてもわかる。外に漏れてる声。下品な女の声と楽しんでるであろうおとこの笑い声。

ーーーーーーーガチャッ

「何をやってるのかしら?」
銃を構えて女を見る。ああ、最近入ってきた給仕だ。しつこく付きまとってたな。
「よぅ、お姫様、お目覚めかい?フフフッ」
女はバッとドフラミンゴの上からどいた。
「あ、あの、これは」
「黙れブス。」
楽しそうに見てるドフラミンゴに対しても殺意が湧く。
「服を着て。こっちに来てくれないならここで死ぬ。」
そういって銃口を自分の頭につけるとドフラミンゴの笑顔がなくなった。ほんとに死んでやろーかとも思う。ささっと服を着たドフラミンゴが私の隣に来る。これでいい。私の隣にいるのはドフラミンゴ。ドフラミンゴの隣は私。だから、
「他の女なんていらないの。」
ーーーーバンッ バンッ
わざと急所を外す。ベッドの上で悶える女。白いシーツが汚れていく。
「死に際まで汚い女ね。」
「フッフッフ、相変わらず狂った女だ。」
「お...がい......ドフ.........様.....」
所々しか聞こえないが助けを乞うてるのはわかる。
「俺の一番はコイツだ。お前を助ける義理もねぇな。フフフッ」
「っていうかあんたみたいな汚いのが私の彼氏の名前呼ばないでくれる? さようなら。」
ーーーーバンッ
パタリと動かなくなった女を見てからドフラミンゴを連れて部屋に戻る。
「あんた、どーゆーつもり?何度目よ?」
「フッフッフ、俺が想ってるのは名前だけだぜ?」
「そーゆー問題じゃない!」
銃を投げつける。難なく受け止めるとサイドワゴンに片付けてくれる。
「妬いてるお前は狂っていて可愛い。それが見たい。」
真顔で言うドフラミンゴ。
「ねぇ、もうしないって言ってくれないの?」
その場では怒るけどこれからの事を約束したことないな、と思って試すように言ってみる。
「そうしたらお前は俺に飽きるだろ?狂うほど愛してくれない。」
拗ねた子供のように口を尖らせるドフラミンゴ。
「異常な愛で包み込んであげるのに。もういいや。私、死ぬ。もう辛い。」
銃にしようか、ドフラミンゴに殺してもらう?いや、してくれなそうだな。どうしようか考えていると本気で怒ったドフラミンゴが首を絞めてきた。
ああ、これでいい。殺してくれるのか。
「ふざけるな。お前が死ぬ?許すわけないだろう。お前は俺のだ。どこにも行かせない。」
言い切ると首を離す。
イライラしながらサングラスを取って床に放り投げる。
乱れていた呼吸を整えると次は荒々しいキスで酸素を奪う。
酸欠で目の前が暗くなり始めたらやっと離してくれた。
「もう、絶対に浮気しないと誓ったら俺のそばで生き続けてくれるのか?俺だけを愛し続けて俺だけを見ていてくれるのか?」
聞かれているこっちが恥ずかしくなるようなセリフを吐く。髪と同じ金色の瞳に見つめられればもう逃げられない。
「それ相応の愛があるならね!」
「フッフッフ、余裕だなぁ!」
いつも通りの笑顔が戻った。未だに嬉しそうに笑いながら抱きしめてくる。
そのままベッドに押し倒され優しく何度もキスをしてくる。あまりにも優しい眼差しに、あぁもう浮気しないだろうな、と心から思えた。


お前が浮気したら俺はお前と一緒に死ぬ、そう思っている俺も相当狂っている

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